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2004年07月30日(金) 00時23分

ネット上の人権問題、法務省からの削除要請をルール化へ朝日新聞

 インターネット上に刑事事件を起こした少年の顔写真や氏名が載ったり、個人を中傷する記述が出たりしたとき、被害を受けた個人に代わって、法務省が接続業者(プロバイダー)に直接、削除要請できる手続きが今秋からルール化される。同省の積極的関与で「表現の自由」との関係を懸念する声もあるが、業者側は要請に応じる義務はなく、自身の判断で削除することを明記した。

 ネットでたれ流される人権侵害に有効な手だてを講じようと、接続業者の団体などが作った「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」(中尾哲雄会長)が法務省を交えて協議を重ね、このほど運用指針の改訂案をまとめた。その中心となるのが、法務省による削除要請の手続きで、9月中に最終決定される見通しだ。

 ネット上に悪質な書き込みなどが見つかった場合、法務省や各法務局はこれまでも、掲示板の主宰者やプロバイダーに削除を求めてきた。

 ただ、02年5月にできた最初の運用指針では、原則として被害者本人による削除要請に対応することしか定めておらず、同省が削除を求めても業者によって対応はまちまちだった。

 今回の改訂案では、法務省側が被害者から相談を受けたり第三者から情報提供を受けたりした場合、決められた書式に公印を押してプロバイダー側に削除を求める。

 プロバイダー側は「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足る相当の理由がある」と判断した場合、削除する。削除要請に応じない場合は、その理由を法務省側に通知することが求められている。

 この削除要請がルール化されても、法的な強制力はないが、実際に削除するプロバイダー側の協力態勢が整ったことで、短時間で確実な削除が期待できるという。同省は「表現の自由を侵さないよう十分検討して要請する」としている。

 一方、協議会を構成する団体に加盟する業者は600〜700社。「2ちゃんねる」など多くの利用者がいる掲示板で加盟していない業者もあり、実効性には課題が残りそうだ。

 最近は、4月にイラクで人質に取られた日本人の住所がネット上に流れたときや、6月に長崎・佐世保の女児死亡事件に関連して加害者とみられる児童らの個人名や写真が掲載されたときに法務省が削除要請している。

 同省に寄せられたネット上の人権侵害の相談は、01年が191件、02年333件、03年484件と増加傾向にある。法務省が接続業者などに削除要請した件数も01年8件、02年25件、03年29件と増えている。

 改訂案は同協議会のホームページで8月末まで公開される。

(07/30 00:23)

http://www.asahi.com/national/update/0730/001.html