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2004年07月23日(金) 08時25分

米産ブロッコリーに中国産混ぜ出荷 大阪市3セクが指示朝日新聞

 米国から大阪港に輸入されたブロッコリーに、米国産より安い中国産のものが混ぜられていたことが、関係者の話でわかった。大阪市の第三セクター「大阪港埠頭(ふとう)ターミナル」の指示で、商品の加工・包装を委託された会社が02年春に、箱から一部を抜き取って詰め替えていた。「米国産」と偽って市場に出た商品は同年春だけで約30トンに上るが、偽装は数年間にわたっていたという証言もある。消費者を裏切り、食品の信頼性を損ねる工作がまた、明るみに出た。

 同ターミナルの説明や関係者の話によると、偽装を直接指示したのは同ターミナルの青果事業部の営業主任で、3人の上司が把握していた。

 同ターミナルは大阪港にある荷役会社で、荷主の青果商社から、輸入ブロッコリーの氷詰め作業や傷んだ品の選別作業などを請け負っている。このうち選別作業を、下請けの包装・加工会社「オーエスサービス」(大阪市)に委託していた。

 オーエスサービスの社員らは指示に基づき、保管中の米カリフォルニア産と中国産のブロッコリー(いずれも1箱10キロ、三十数束入り)のうち、米国産の箱から約4分の1を抜き取り、中国産に差し替えていた。

 中国産を混ぜた米国産の箱は、荷主の客の大手スーパーなどに「米国産」として出荷された。中国産が入っていた空き箱は廃棄したという。

 偽装した理由について、同ターミナルは「倉庫の管理が不十分で米国産の商品が傷み、不足したため、穴埋めするためにやった」と説明した。しかし実際には傷んでいない商品まで抜き取り、その品は別の箱に詰めて出荷しており、事実上の「水増し」といえる。

 同ターミナルが認めた偽装の時期は、02年2〜3月のうちの約1週間で、量は1日約500箱(5トン)、計約3000箱(30トン)になる。関係者は「偽装は2年前からあった」と話している。

 中国産のブロッコリーについては、02年1月の厚生労働省の調査で、国内で使用禁止の猛毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスが基準値(1.0ppm)を超える1.3ppm検出されている。このため、消費者から敬遠されていた経緯がある。偽装はその調査直後にされていた。

 米国産ブロッコリーは、輸送技術が進んでいるため比較的鮮度が長く保たれ、外国産の中では高級品になる。大阪市中央卸売市場の統計では、年間の平均価格(02年)は10キロあたり2690円で、中国産より1310円高い。どこの国のものか、外見からは区別がつきにくいという。

 同ターミナルは、1951年設立。資本金4億9000万円のうち市が50%を出資。社員は約170人。役員は代々、市の天下りポストとなっている。昨年度は約2000万円の赤字だった。

 同ターミナルの谷間育宏常務と営業主任は朝日新聞記者の取材に対し、「商品を劣化させると荷主に弁償金を支払わなければならず、それを隠すために偽装した。中国産の農薬問題も知っており、罪の意識はあった。消費者や取引先には申し訳ないことをしたと思っている」と話している。

(07/23 08:25)

http://www.asahi.com/national/update/0723/005.html