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2004年07月20日(火) 01時31分

7月20日付・読売社説(2)読売新聞

 [電波利用料]「情報化社会の進展を妨げないか」

 急速に普及している無線LAN(構内情報通信網)や高速道のノンストップ自動料金収受システム(ETC)などからも、電波利用料を徴収すべきではないか——。

 総務省の電波有効利用政策研究会の問題提起が波紋を呼んでいる。無線LANやETCは、弱い電波しか発信せず、混信を起こす恐れもない。このため、「免許不要無線局」とされ、国が徴収する電波利用料もかかっていない。

 だが、携帯電話などの強い電波に干渉されるのを避けるため、総務省から専用の周波数の割り当てを受けている。

 十一年前は九十メガ・ヘルツ幅だった免許不要局用の周波数は、九千五百メガ・ヘルツ幅へと約百倍に拡大している。

 研究会では「一定の周波数を占有し、周波数不足の一因になっている以上、免許不要局も利用料を納めるべきだ」との意見が多数を占めた。

 無線LANやETCは今後の経済成長の柱と期待されている。利用料を課せられ、消費者の負担が増えれば、情報化社会の進展が妨げられかねない。利用料の徴収は慎重に検討すべきである。

 無線LANは今後、「情報家電」の中核として、テレビや冷蔵庫などに組み込まれることが、確実視されている。

 それにより、外出先から携帯電話でテレビ番組を録画したり、冷蔵庫の中身を確認したりできるようになる。

 ETCも多機能化が進みつつある。道路脇の発信機から「この先、危険な交差点」といった音声情報を受信するサービスが、近く実用化される。自動車業界では電波で先行車との車間距離を一定に保つ機器などの開発も急ピッチだ。

 そう遠くない将来、消費者が多数の免許不要局を持つと予想される。その場合、一つの機器の電波利用料は安くても、合計すれば重い負担になってしまう。

 利用料は、違法電波を監視し、国民共有の財産である電波の利用環境を守るため、一九九三年に創設された。

 初年度に約74億円だった利用料収入は昨年度約543億円に増大した。一台につき年540円の携帯端末が、爆発的に普及したためである。

 思わぬ財源を得て、総務省は利用料を特別会計のように使い始めた。地上波テレビのデジタル化のため、既存アナログ波を別の周波数に移す「アナアナ変換」の事業費は、利用料で賄われている。

 これはやむを得ないとしても、総務省が膨張する利用料を、様々な行政経費に流用しようとしているのは問題だ。免許不要局からの徴収が、自由な財源を増やすためなら、本末転倒ではないか。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040719ig91.htm