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2004年07月18日(日) 02時58分

7月18日付・読売社説(2)読売新聞

 [BSE対策]「緊急措置の役割終える全頭検査」

 羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く。こうした過剰反応を続ける必要は、もうないということだろう。

 BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)対策の決め手として実施されてきた全頭検査について、内閣府の食品安全委員会が、見直すことが適当、とする報告書案をまとめた。

 年齢の若い牛は、検査してもBSEへの感染をはっきり検出できないうえ、BSEが人に感染する危険性は極めて小さいため、と理由を説明している。安全委の一部に慎重論もあるが、一、二か月以内に最終的に了承される見通しだ。

 全頭検査を実施している厚生労働省は安全委の結論を待って、一定の基準年齢を定め、それ未満の若齢牛については検査を免除する方針だ。

 現在の検査技術では、BSE感染の確認が可能なのは、生後二年前後を経過した牛からだ。欧州では、生後三十か月以上の牛を対象としている国が多い。日本では生後二十か月程度が新しい基準になるものと見られる。

 全頭検査を実施しているのは世界で日本だけだ。日本の検査基準を世界に合わせるべき時が来たといえよう。

 むしろ、BSE対策で重要なのは、原因となる異常プリオンが蓄積する脳や脊髄(せきずい)、小腸の一部といった危険部位を完全に除去することだ。

 欧州各国と同様、日本もすべての牛から危険部位を除去しており、この措置は継続される。危険な牛肉が出回ることは今後もないと専門家が指摘している。

 食品安全委は、こうした事情を丁寧に説明し、全頭検査見直しに、消費者がいたずらに不安を感じることのないよう努めるべきだ。

 全頭検査は、日本で初めてBSEの発症が確認された二〇〇一年九月の翌月から始まった。当時のパニック的な牛肉離れを沈静化する狙いで、出荷されるすべての牛について、感染の有無を調べる異例の措置として導入された。

 これまで十一頭を感染牛として特定し出荷を止め、国内産牛肉に対する消費者の信頼回復に貢献した。だが、最近では内外の食品関係者から、過剰な検査は不要との指摘が相次いでいた。

 全頭検査見直しが実現すれば、懸案となっている米国産牛肉の輸入禁止問題も解決に向け動き出しそうだ。日本は再開の条件として、日本並みの措置を要求してきたが、米国は「全頭検査は科学的ではない」と反発していた。

 今後の対米要求は、米国が受け入れやすいものとなる可能性が高い。米国産牛肉の輸入が再開されれば、国内の牛丼ファンらに朗報となるに違いない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040717ig91.htm