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2004年07月15日(木) 00時00分

確かなあした ゼロ円携帯『解約違約金』なぜ? 東京新聞

 携帯電話を「ゼロ円」で買ったら「早期に解約する場合は違約金を払う」という内容の誓約書を書かされた利用者から「納得できない」との声があがっている。こうした違約金の請求は総務省が行政指導で禁止しているが、一向になくならない。その背景には、シェア競争を繰り広げる携帯電話業界の不透明なお金の動きがある。 (稲田 雅文)

■電話会社にもらう奨励金、半年以内だと販売店も返却

 「こんな場合でも違約金を払わなければならないのでしょうか」。四十二歳の男性は五月中旬、携帯電話の安売り店で「ゼロ円」で販売されていたNTTドコモ東海の電話を買った。

 この際、「七カ月以上はいかなる理由があっても使用する」とし、守らなかった場合は違約金二万五千円を払うことを約束する誓約書を安売り店あてに書いた。

 しかし、自宅で使ってみると、以前の機種は問題なく通じたのに、新しい機種は通話がすぐ切れるなど、受信状態が極めて悪い。ドコモに聞くと「解約してもらうしかない」と言われた。

 結局、半月後にドコモの専売店で解約したが、安売り店に違約金は払っていない。一方、解約した日に、ボーダフォンの専売店で同社の電話を契約した。この時も、従業員から口頭で「六カ月以内の解約は、二万−三万円の請求をすることになるかもしれない」と言われたという。

 なぜ、違約金を請求するのか。この安売り店を展開する販売会社の広報担当者は「販売店も違約金を取られているからです」と明かす。同社の説明によると、ゼロ円で売っている携帯も、一次代理店から仕入れるときは一台四万円以上。ゼロ円にできるのは、一台売るごとに「インセンティブ」と呼ぶ販売奨励金が払われるためだという。

 奨励金は携帯電話会社が出し、一次代理店を通じて配分される。発売から時間がたった機種は在庫一掃のため奨励金が増額され「激安販売」が可能になる。「ドコモに限らず、ほかの携帯電話会社にも同じような仕組みがあります」とこの担当者。

 しかし、加入から六カ月以内に解約されると、一次代理店から奨励金の一部返却を求められるという。このため「利益を確保するためにも、消費者との約束の形で誓約書を書いてもらっている」と担当者は説明する。

 「モラルが低い消費者もいるので、料金を払わない人や、すぐ解約する人が買うのを抑止する狙いもあります」と話すのは、東海地方で販売店を経営するAさん。Aさんも激安の携帯電話を売る場合は、誓約書を書いてもらっている。

 Aさんの場合、ドコモの電話は一次代理店を通じて仕入れる。仮に、ある機種を四万五千円で仕入れたとして、この機種を売ったときに四万九千円の奨励金が出れば、消費者にただで渡しても四千円の粗利益がある。

 Aさんは一次代理店から送られてきた一枚の書類を示した。携帯の番号に契約と解約の年月日が書かれ、奨励金返却の請求額が記してある。

 Aさんによると、携帯電話会社が販売店に支払う奨励金は、利用者が払う基本料金や通話料で回収されている。早期に解約されると回収できないため、奨励金の一部返却を請求してくるという。

 例えば、利用者が六カ月以内に自発的に解約した場合は「申出解約」という項目で一万五千円の請求が来る。六カ月以上基本料金を払った場合でも、解約直前の三カ月間、一度も電話を使わなかったら「数量0度数」という項目で八千円を請求される。このほか、料金不払いなどの理由で携帯電話会社側が強制解約した場合は一万九千円が請求されるという。

 ある月の請求書を見ると、一カ月で解約されたケースもあり、違約金は十万円近くに上る。六カ月以内に解約されるのは販売台数の5%ほどだが、誓約書に基づいて違約金を請求しても、払ってもらえないケースがほとんどだという。

 「一次代理店に払う違約金が月額二十数万円に上ったこともある。誓約書はモラルが低い消費者に対する防衛手段です」とし、「こんな販売の仕組みを作った携帯電話会社も悪い」とAさんはため息交じりに話す。

■『一定期間の使用見越して支払い』電話会社

 奨励金の「返還」を求める理由について携帯電話各社に聞くとドコモ東海やボーダフォンからは「一定期間使われることを見越して奨励金を払っている。短期で解約された場合は、支払い済みの奨励金の一部を返してもらっている」などとの回答があった。ドコモは「販売奨励金の減額は、乱売防止の意味合いもある」とする。

 しかし、販売店が利用者に違約金を支払う誓約書を書かせるのは、ドコモやボーダフォン、ツーカーセルラーでは禁止しているという。auのKDDIは「代理店で行っていることなので、コメントできない」との回答だった。ボーダフォンは「奨励金で(販売価格が安くなり)電話が買いやすくなっていることが普及につながり、サービスや技術開発が促進されている面がある」とも説明している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040715/ftu_____kur_____000.shtml