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2004年07月15日(木) 22時43分

「イレッサ」服用後に死亡、遺族が輸入元・国を初提訴読売新聞

 2002年10月、肺がん治療薬「イレッサ」(一般名・ゲフィチニブ)の服用後に死亡した京都府内の男性(当時69歳)の遺族4人が、「副作用が原因」として輸入販売元の「アストラゼネカ」(大阪市北区)と輸入を承認した国に慰謝料など計3300万円の損害賠償を求める訴訟を15日、大阪地裁に起こした。

 遺族は「ア社は重い肺障害の発症を予見できたのに予防策を怠ったうえ、副作用情報を隠して輸入を申請し、国もずさんな審査によって異例のスピードで承認した」と訴えている。イレッサの副作用を巡り、ア社や国に損害賠償を求めた訴訟は初めて。

 訴えによると、男性は02年3月、肺がんと診断された。退院後の同9月、医師の勧めでイレッサの服用を始め、1週間後に間質性肺炎となって服用を中止、約1か月後に死亡した。

 英国で開発されたイレッサは、申請から半年で厚生労働省が輸入を承認。02年7月に発売されたが、副作用が多発。同省は同10月、ア社に対し、イレッサの説明書に副作用に関する注意書きを付け加えることなどを指示。同12月には、使用を専門医に限定するなどの安全対策を決めた。

 弁護団は、▽東京女子医大の動物実験でイレッサが間質性肺炎を悪化させる結果が出ていたのに、ア社が学会発表を中止させた▽臨床試験中の2000年12月、首都圏の公立病院で男性患者が間質性肺炎を起こし、症状の重さは、死亡の恐れのある「グレード4」だったのに、ア社が国に出した審査資料では、死亡の恐れのない「3」となっていた——などを挙げ、「不利なデータを隠して承認を急いだ」としている。

 ア社によると、国内で今年3月までに重い副作用が1083例あり、うち438人が死亡した。

 厚生労働省医薬食品局副作用被害対策室の話「訴状を見ていないので、コメントできない」

 アストラゼネカの話「提訴は残念。訴状の内容を見ていないので、コメントは差し控えたい」

          ◇

 【訂正】昨年2月25日朝刊の「イレッサ副作用、虚偽報告か」の記事で、首都圏の公立病院の症例について、「アストラゼネカ社が国への副作用報告の際、グレードを下げて報告していた」と報道しました。しかしグレードが実際より低く記載されていたのは、副作用の発生時の報告ではなく、承認審査の段階の資料でした。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040715-00000211-yom-soci