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2004年07月14日(水) 02時57分

雪印食品牛肉偽装 元専務ら2人無罪 「報復感情…実行役の供述信用できぬ」産経新聞

神戸地裁判決、会社ぐるみを否定
 雪印食品(解散)のBSE(牛海綿状脳症)対策事業を悪用した牛肉偽装事件で、詐欺罪に問われた同社の元専務、桜田弘巳被告(六三)=求刑懲役三年=と元常務、井上正躬被告(六二)=同懲役二年六月=に対し、神戸地裁(杉森研二裁判長)は十三日、「元部下ら食肉部門の暴走ともいうべき偽装を、二人が認識・容認していたとは認められない」として、いずれも無罪判決を言い渡した。検察側は控訴する方針。
 一連の牛肉偽装事件で初の無罪判決。雪印食品の元部長ら五人は元専務らとの共謀を認定した有罪が既に確定している。元専務ら二人は一貫して無罪を主張していた。
 判決は、検察側が主張した「会社ぐるみの犯行」という構図を否定し、「役員を欺いた現場の暴走」という弁護側主張を認めた。
 判決理由で杉森裁判長は「二人に偽装を報告し了承されたとする元部長らの供述には、不合理な変遷や多くの疑問点があり、到底信用できない」として実行役との共謀を否定。動機についても「雪印乳業の集団食中毒で二人は社会的非難を浴びる行為に抵抗感を持っており、偽装を容易に承諾するとは考えがたい」と疑問を示した。
 元部下ら五人の供述に関しては「(事件で)懲戒解雇となるなどし、元専務らに反感や報復感情を抱いており、二人を犯行に引き込む供述をした可能性を否定し難い」と指摘。「部下の独断による犯行を強くうかがわせる」と述べた。
 二人は部下の元部長らと共謀し平成十三年十−十一月、BSEの影響で過剰在庫となった輸入牛肉約三十トンを対策事業対象の国産牛肉に偽装。計約二百八十トンに混入して業界団体に買い取らせ、代金の一部約二億円をだまし取ったとして起訴された。
     ◇
≪「潔白証明」「責任重い」≫
 雪印食品の元専務、桜田弘巳被告らに「無罪」が言い渡された瞬間、傍聴席を埋めた同社の元従業員らは「えっ」と絶句。対照的に元専務はハンカチを取り出し目をぬぐい、裁判長に向かって静かに頭を下げた。
 逮捕以降、被告らを支えてきた家族も傍聴席で感激の涙を流した。桜田被告は判決後、「身の潔白が証明されてありがたい」、井上被告も「信頼してくれた旧社員や家族にお礼を言いたい」と弁護団にコメントを託した。
 法廷で熱心にメモを取っていた元パート従業員、川瀬二見さん(六一)は「上の指示がないと部下は動けない。三菱自動車のように上司が『隠せ』と命じるのは日本企業の体質だ」と批判した。
 雪印食品一般労働組合の吉村宗夫書記長(五〇)は「従業員二千人の職を失わせた幹部たちの責任は重い。無罪は意外だ」と釈然としない様子だった。
 一方、兵庫県警幹部は「部下が報復感情で供述したというのは逮捕段階では考えられない」と、ぶぜんとした表情だった。(産経新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040714-00000022-san-soci