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2004年07月13日(火) 12時12分

iPodがカギを握る、コピー防止機能付きCDのDRM技術をめぐる争いCNET Japan

 先月、コピー防止機能付きCDが米国でヒットチャートの第1位を記録し、著作権侵害対策技術全体にとって画期的な出来事となった。ただし1つだけ、問題が残っている。それは、こうしたCDの楽曲がAppleのiPodでは再生できない、ということだ。

 大半のコピー防止機能付きCDには、SunnComm InternationalもしくはMacrovisionの、どちらかの技術が採用されている。両社は現在、人気の高いiPodと互換性のある新バージョンの開発を急いで進めているところだ。この過程で、両社はCDを保護する方法に大幅な変更を加えているが、いずれはこのことがMicrosoftの進める音楽ビジネス参入を阻害する可能性もある。

 SunnComm Internationalの最高経営責任者(CEO)Peter Jacobsは、「顧客サービスに寄せられた5〜600件のコメントのうち、8割はiPodとの互換性に関するものだ」と述べている。同社の技術は、先月のヒットチャート第1位に輝いたVelvet Revolverのディスクに採用されている。「あとは、『自分で買ったものが、何で自由にならないのか』というもので、これも大半はiPod関連の質問だ」(Jacobs)

 コピー防止技術を採用したCDは、これまでバグが原因で再生できないことがあった。こうした技術の開発元がバグの修正に追われるなかで、違法なコピーや「リッピング」から音楽CDを保護しようとするレコードレーベル側の取り組みは、数年前から忘れ去られた存在になっていた。しかし、米国市場では現在、こうした技術を採用する新しいディスクの数が増えつつある。

 コピー防止機能付きCDは、今も多くの方面から酷評されている。たとえば、Beastie Boysは先月米国外の市場でアルバムをリリースしたが、このコピー防止機能付きCDに関して世界中のファンサイトに怒りのコメントが殺到し、同グループが自らのウェブサイトに釈明のコメントを載せるという事態に発展した。

 それにもかかわらず、BMG MusicのVelvet Revolverなど、最近リリースされたいくつかのCDが成功を収めていることから、各レコード会社はこれを吉兆と捉え、さらに多くのCDでこうした技術の実験を行うことになりそうだと述べている。BMGが採用するSunnCommの技術は、完璧にはほど遠いもので、コンピュータのシフトキーを押さえているだけでPCで保護機能を解除できてしまう。しかし、BMGの幹部らはこの保護機能でも多くのコピーを防げると語っていた。

 それでも、コピー防止技術を開発する各メーカーが、Appleにアプローチしているという事実は、この技術の新しい方向性を指し示している。

iPod人気で失われるMicrosoftの優位性

 SunnCommと、ライバルにあたるMacrovisionは、それぞれ数年前から、コピー防止機能付きCDに2つの異なるバージョンの曲を収めようとしてきた。こうしたCDのなかには、コピーできないものと、コンピュータや一部の携帯音楽プレイヤーなどに移動可能なものという、2つのバージョンが併存している。

 「セカンドセッション」と呼ばれる移動可能なバージョンには、今日まで、MicrosoftのWindows Media Audioフォーマットが使われてきた。両社がWMAフォーマットを選んだのは、事実上すべての市販PCや数多くの携帯音楽プレイヤーが、WMAをサポートしているためだ。

 この判断は、どの大手レコード会社にも評判が芳しくなく、そのためMicrosoftには強力で儲けの多い音楽分野に進出するチャンスが与えられたようにも見えた。すべてのCDに自社のフォーマットを採用した楽曲が収められることになれば、WMAはデジタル音楽に関する事実上の標準に大きく近づくことになる。

 しかし、その後iPodが登場し、一気に人気をさらってしまった。そして、このiPodがWMAフォーマットに対応していないことから、両社では計画の変更を余儀なくされた。つまり、もはやMicrosoftの技術に依存することも、2つのバージョンを用意することも、Appleに互換性実現を求めることも必要なくなったからだ。

 SunnCommは今年夏の後半に、またMacrovisionは来年初めに、それぞれ新世代の技術を発表する。これらの技術を使えば、CDをリッピングしてMP3ファイルを作成するのとほぼ同じやり方で、コンピュータや携帯プレイヤー用の曲を簡単に作成できるようになる、と両社は説明している。

 これらの技術を採用する音楽CDには、ソフトウェアが組み込まれ、このソフトウェアが、iPodや、Rio KarmaなどのMicrosoft互換プレイヤー、あるいは消費者が使う可能性のあるどのデバイスでも再生可能な新しいコピー防止機能付きファイルを作成するという仕組みだ。

 Macrovisionのマーケティングシニアディレクター、Adam Gervinは、「現在では、次々と新しい携帯音楽プレイヤーが人気を集めるようになっていることから、CDのなかに移動可能な楽曲ファイルを固定的な形で収める時代が終わっている」と語った。

 少なくとも理屈の上ではそういうことになる。だが、Appleに関する問題は片づいていない。つまり、同社は「FairPlay」というiPodで使われているDRM技術をまだどこにもライセンス供与していないからだ。

 ただし、この分野の進展を示す兆候もいくつかある。MacrovisionのGervinは、同社が最終製品にAppleのコードを採用するライセンスを受けているのかどうかについては言及を避けたものの、それでもレコード会社に対してはすでにiPodをサポートすることを表明していると語った。一方、SunnCommのJacobsも、Appleが必要なツールを提供してくれることについては楽観視していると述べている。

 実際、もしAppleが自社のDRM技術をコピー防止機能付きCD用にライセンスできるとすれば、条件によってはこれが将来有望な新しい収益源になる可能性もある。なお、Appleはこの件に関してコメントを差し控えた。


この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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