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2004年07月10日(土) 15時03分

<高山病>痴呆の危険 帰国後に言葉や動作が緩慢に毎日新聞

 空気中の酸素濃度が低い高地で高山病を起こした後に痴呆になるケースがあったことが分かり、順天堂大医学部などの研究グループが米国の高山病専門誌に発表した。脳に酸素が行き渡らず、組織の一部が破壊されるためとみられる。旅行や登山で高地に出かける中高年が増えているが、研究グループは「中高年の方は、短時間に高度を上げないようにご注意を」と呼び掛けている。【永山悦子】

 同グループによると、順天堂大病院の精神神経科で診察したいずれも63歳の女性2人が、痴呆状態になる前に高山病の急性症状を起こしていた。

 このうち一人は太平洋に面したペルーの首都リマから空路でクスコ(標高約3400メートル)に移動した際に、吐き気や意識障害といった高山病の症状を起こした。治療で高山病の症状は治まったが、帰国後に言葉や動作が緩慢になり、痴呆と診断された。

 別の女性もリマからクスコへ空路移動し、高山病を起こした。約2カ月後から、記憶があいまいになるなどの痴呆症状を示した。

 2人の頭部を磁気共鳴画像化装置(MRI)で調べたところ、大脳の淡蒼球(たんそうきゅう)という部分の活動が低下していた。淡蒼球の組織が低酸素状態で破壊されたとみられる。淡蒼球は筋肉の運動などをつかさどる。一酸化炭素中毒でも、淡蒼球が壊されて痴呆が起きることが分かっている。

 女性の一人は18歳の時に肺結核にかかっていた。もう一人の女性は、空気中の酸素が薄くなっても呼吸量が増えない体質だと、帰国後の検査で分かった。いずれも呼吸器系が弱かった。

 同グループが過去の文献を調べたところ、高山病の後に痴呆状態になった症例が国内で3例見つかった。高地へ行ったことと痴呆との関連はこれまで詳しく調べられていなかったため、実際にはこうした症例はもっと多いとみられている。

 順天堂大の臼井千恵医師(精神医学)は「呼吸器に病歴を持つ中高年が、高山病を起こすような酸素の薄い高地へいきなり登ると、痴呆を起こす可能性が高まる」と話している。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040710-00001075-mai-soci