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2004年07月08日(木) 00時00分

メールの怖さ 知ってね 動きだした“安全”教育 情報モラル教育の授業をする田村幸雄教諭=神奈川県厚木市の森の里小学校で 東京新聞

 長崎県佐世保市の小六女児殺害事件では、ネット上での感情の行き違いが問題となった。互いに顔を見ないで行うネットでのコミュニケーションには落とし穴も多く、「ネチケット」(ネット上で守るべきエチケット)という言葉もあるほどだ。学校や家庭にパソコンが普及する一方で、その使い方に関する教育体制はまだ不十分。情報モラル教育に取り組む現場を取材した。 (ルポライター・瀧井 宏臣)

 長崎の事件をきっかけに六月末、神奈川県厚木市立森の里小学校で、五年生の道徳の時間を使って情報モラルについて学ぶ授業が行われた。

 担当は、この分野を専門とする田村幸雄教諭。授業の柱は「イタズラしたことを先生に言いそびれた同級生に、注意を促すメールを書く」というもの。あえてパソコンを使わず、児童たちは配られた紙に文章を書いた。

 「今日のイタズラ、ちょっとヤバくない。だって先生結構怒ってたよ」。まず、田村さんは児童が書いた文章を優しい声で読み上げた。次に、同じ文章を怖い顔をして強い口調で読んだ。すると教室にどよめきが起こり、そして爆笑の渦に。

 「文章はまるっきり同じだよ、何が違うの」と田村さんが問いかける。「口調が違う」「言い方がムカつく」「気持ち悪い」と児童たち。これだけで、児童たちはメールの文面と、書いた人の気持ちが必ずしも一致しないことを理解した。

 田村さんは「だから、本当に自分のことを分かってもらいたい時は、相手の顔を見て伝えましょう。メールは便利だけれど、そういう怖さがあることを知っておいてください」と締めくくった。スリリングでドラマチックな授業だった。

 このクラスでは、三十人中、メール経験者は約半数。チャット経験者も十人を超える。では、家庭ではどう対処したらいいのか。田村さんは「ネットは子どもが一人で盛り場に行くようなもの。ネットをやることは構いませんが、必ず家族のいる部屋でやること。たとえ苦手でも、親も一緒にやることが大切です」とアドバイスする。

    ◇   ◇

 文部科学省は、コンピュータ教育開発センターなどを通じて情報モラル教育の教材を開発したり、田村さんの授業のような先進的な実践事例をホームページ上で紹介したりしている。しかし、多くの小学校で取り組みが遅れているのも現実だ。

 そんな中、NPO法人(特定非営利活動法人)の日本ガーディアン・エンジェルスと、NECグループの社員ボランティアでつくるサイバースターズが、全国十三カ所で、小学生を対象に「ネット安全教室」を開いている。

 東京都渋谷区恵比寿で六月末に開かれた教室には、二十組近い小学生の親子が参加した。実際にパソコンを操作してネットやチャット、電子掲示板などを体験。(1)知らない人からのメールには返事を出さない(2)チャットでケンカになったら一度はケンカを仲裁し、だめなら退出する(3)誰が見るかわからない掲示板には個人情報は載せない−などの基本的なルールを学んだ。

 参加した母親は「家ではなかなか教える機会がないので勉強になった」と話していた。

 ネット上のマナーは、学校で学ぶのがベストと考えられるが、まだ十分な体制とはいえない。民間の安全教室なども利用し、それぞれの家庭で対処していくことも大切だろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20040708/ftu_____dgi_____000.shtml