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2004年07月08日(木) 00時00分

浄水器設置でトラブル多発 東京新聞

 市や町から水質検査に来たように装って民家を訪れ、試薬を水道水に入れて変色させ、不安をあおって高額の浄水器を売りつける−。こうした「点検商法」による浄水器の販売トラブルが増えている。先月末には、警察が迷惑防止条例違反で販売員を逮捕するケースも出た。自治体も「検査や販売はしていない」と注意を呼びかけている。 (坂口 千夏)

■事例

 1集合住宅に住む主婦(21)の家に、この春、男女二人組が「水質の調査をしている。台所の水をチェックさせてください」と言ってやって来た。

 水道局の職員と思って部屋に上げたが、薬品を使って「こんなに強い塩素を体内に入れている」と言って色の変わった水を見せ、「効果を見て」と勝手に浄水器を取り付けた。本体は無料だが、毎月三千三百円のリース料を払うという。断っても、「近所の人はみんな使っている」「節約してでも使え」と引き下がらず、三時間後、何とか帰らせた。

■事例2

 「契約の内容が理解できない高齢者に売るなんて…」と会社員の男性(39)は怒る。

 昨年秋、独り暮らしの義母(75)の家を、若い男性の三人組が「水道の検査に来た」と訪れた。水道局の職員だと思って中に入れると、試薬で色が変わった水道水を見せて「塩素がこんなに使われている水は飲めない」と不安をあおった。

 さらに「試しに」と言って浄水器を取り付け、「月々の支払いは四、五千円」と説明。契約書はほとんど業者が記入し、サインと押印だけ求められ、義母はよく分からないまま三十万円のローンを組んだ。

 十日後、この男性夫婦が義母宅を訪れ、浄水器に気づいた。クーリングオフ期間は過ぎていたが「内容をよく分からないまま契約させたのはおかしい」と業者と交渉。業者は、使用したフィルター代七万円を払うことで解約に応じたという。

■38万円

 国民生活センターによると、浄水器の点検商法に関する相談は昨年度、全国で千三百八十五件。前年度より三割弱増えた。契約金額は平均三十八万円。二十代の若者と六十歳以上の高齢者がトラブルに巻き込まれるケースが多い。

 東京都消費生活総合センターの担当者は、「昨年度は架空請求や不当請求の相談が多く、他の相談が入りにくい中で、浄水器の点検商法は百三十件と前年度より四割増えた」と話す。

 名古屋市消費生活センターによると、浄水器の点検商法は、業者が販売目的を隠して訪れ、水道局の職員などと勘違いさせた上、水道水に試薬を入れて色を付けて不安にさせ、強引に取り付けるのが特徴。特定商取引法により、八日間以内ならクーリングオフ(無条件解約)できる。

 愛知県警生活経済課と名古屋・北署は先月二十三日、不安をあおって高額な浄水器を売りつけたとして、県迷惑行為防止条例(押売行為等の禁止)違反の疑いで、名古屋市内の浄水器販売会社の男性社員三人を逮捕した。浄水器の訪問販売を、警察が都道府県の迷惑防止条例で摘発したケースは珍しい。

 調べでは、三人は昨年六月から今年三月まで、作業着姿で水道水の点検を装い、県内の計十三人の住宅を訪問。残留塩素の検査薬を加えて変色した水を見せ、「こんな色になる水は飲めない」などと不安をあおり、浄水器を一台三十万円で売り付けた。浄水器は、一台三万−八万円で市販されている製品だった。被害者は高齢者が中心で、被害額も大きい点や解約についても消費生活センターの指導に応じないケースもあるなど悪質なため、逮捕に踏み切った。

 「水道局から来た」とか「クーリングオフがきかない商品だ」など、業者の発言内容が「虚偽」なら特定商取引法違反になるが、被害者が高齢であるため、三人がこうした発言をしたかどうかはっきりしない。

 このため、塩素などによる健康への影響を実際以上に強調し、恐怖心をあおったことについて、「事実を誤解させるような表示または言動」をしてはならないとする県迷惑行為防止条例を適用した。

 東京都水道局は「利用者から要請のない水質検査をしたり、検査後に浄水器の販売、あっせんをしたりすることはない」と言う。

 名古屋市上下水道局もこうした点検や販売はしていないとし「不審があれば職員証の提示を求めるか、最寄りの営業所へ問い合わせてほしい」と話す。

 残留塩素の基準は、水道法で殺菌効果を保つため1リットル当たり0.1ミリグラム以上としている。上限は厚生労働省の行政指導で1リットル当たり1ミリグラム以下が実質的な基準だ。名古屋市の場合、2002年度平均で1リットル当たり0.5ミリグラム。「人体にはまったく影響ない」としている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040708/ftu_____kur_____001.shtml