悪のニュース記事

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2004年07月08日(木) 01時37分

7月8日付・編集手帳読売新聞

 「世間を偽るには世間並みの顔をなさいませ」とはシェークスピア、劇中のせりふである。饒舌(じょうぜつ)な広報担当者も気弱そうな顧問弁護士も、言葉と法を尊重してみせる「世間並みの顔」だったのだろう◆警察庁の国松孝次長官が狙撃された朝、オウム真理教の広報担当者はテレビのワイドショーに出演していた。放送中に届いた事件の一報に、「われわれを圧迫する勢力の犯行でしょう」と、よく回る舌で語っている◆あの朝から九年、警視庁はきのう、元信者ら四人を逮捕した。地下鉄・松本の両サリン事件、坂本弁護士一家の殺害事件…オウム教団の素顔は次々と暴かれた。隠れた顔がまだ残っていたとは、教団がまとう闇の深さに、いまさらながら息をのむ思いがする◆狙撃の実行犯は分かっていない。逮捕者のひとりは事件の翌年、「自分が撃った」と供述した。警察は裏付けがとれず、立件を見送った経緯がある。急転直下の解決に至った捜査の過程も含め、数々の謎が明らかにされていくだろう◆教団はかつての教祖、松本智津夫被告と縁を切り、害のない宗教団体に生まれ変わったと主張しているが、逮捕されたひとりは現役の信者である。つい数日前には、薬の無許可販売で教団の最高幹部が逮捕されている◆「世間並みの顔」の下に、昔ながらの異形の風貌(ふうぼう)がちらつく。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040707ig15.htm