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2004年07月05日(月) 15時03分

<母乳>国内未使用の農薬が微量検出 愛媛大など毎日新聞

 国内で製造・輸入実績のない有機塩素系農薬「トキサフェン」が日本人の母乳に含まれていることが、愛媛大沿岸環境科学研究センターの田辺信介教授の研究室と住化分析センター(本社・大阪市)の共同調査で分かった。厚生労働省や環境省によると、日本人からの検出例は初めて。田辺教授は「トキサフェンは、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の疑いがある。すぐに人体に悪影響があるとは言えない濃度だが、経路の特定が必要だ」と話している。7日から静岡市で開かれる環境化学討論会(日本環境化学会主催)で発表する。

 環境省によると、トキサフェンはトウモロコシやジャガイモなどの殺虫剤として、70年代に米国などで使われたが、その後は使用されている国・地域は確認されていないという。発がん性などの健康被害の恐れがあるとして、ポリ塩化ビフェニール(PCB)など有害化学物質12種類を規制する「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(今年5月発効)で製造・使用が原則的に禁止された。

 有機塩素系農薬は脂肪分によく溶け、生物の脂肪組織に蓄積されやすい。女性への影響が大きいとされていることから、母乳を調査した。99〜04年、愛媛県内の28〜36歳の女性6人と九州の27歳の女性1人の計7人の母乳を取り、汚染物質の濃度を調べた。その結果、全員から1グラム当たり7.6〜1.8ナノグラム(ナノは10億分の1)のトキサフェンが検出された。

 トキサフェンが、どのような経路で日本人の体内に蓄積されたかは不明だが、田辺教授は「かつての使用国から輸入された乳製品や魚などに蓄積されていたか、軽くて飛散しやすい物質のため、大気に乗って降雨などで汚染が広がった可能性もある」と指摘する。

 田辺教授らの調査では、これまでに日本近海のイルカやクジラから微量のトキサフェンが検出されていた。【新井隆一】

 ◇国立環境研究所化学環境研究領域・柴田康行領域長の話

 今回の研究は、世界中に飛散しやすいというトキサフェンの特質を改めて示したといえる。製造・輸入実績のない日本も無関心ではいられない。世界レベルでのモニタリングや対応が必要だ。

 ◇摂南大薬学部の宮田秀明教授(環境科学)の話

 トキサフェンは中枢神経を侵し震えやけいれんを起こしたり、肝臓障害の原因になることが動物実験で分かっている。蓄積量が多いと死亡する場合もある。中国では綿花栽培でトキサフェンが殺虫剤として使われており、大気の流れに乗って日本に入った可能性が一番高いと考えられる。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040705-00001071-mai-soci