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2004年07月05日(月) 00時00分

ネットと公選法 活用のときではないか 東京新聞

 選挙運動へのインターネット活用は公選法の「文書図画」に相当するとの総務省の解釈に従い、各候補者は自粛している。だが、矛盾も目立つ。参院選を機に議論を深めたい。

 選挙時期にかかわらず、政治家がホームページを持つのは当たり前のようになっている。だが、公示後は各候補者とも公選法違反と疑われる恐れのある内容を一斉に消してしまうのが通例だ。

 公示後のいま、各候補者のページを閲覧してゆくと、多くの候補者は立候補の事実にさえ触れていない。

 現行の公選法にネットに関する規制の明確な条文はないにもかかわらず、ネット上の書き込みは従来規制されている印刷した「文書図画」に相当するという解釈が総務省などから示されているためだ。

 これにより候補者も神経質なほど、選挙違反に該当すると思われる文字や写真を載せないように気を配っている。対照的に、各政党のホームページでは競い合うように公認候補者の紹介を行っている。自民党は今回、初めて比例代表候補者全員の動画による紹介に踏み切った。

 民主党も国内最人気の検索ページ「ヤフー」に党の広告を出し、そこをクリックすると党のホームページにジャンプする仕掛けを設けた。そこでは岡田代表の参院選向けテレビコマーシャルが動画で見られる仕組みになっている。

 各政党は、これまでの選挙でも少しずつネットの利用を進めてきたが、今回はさらに積極性を増した。各候補者の慎重さと、政党の積極ぶり。候補者という個人に対し組織である政党という立場の違いが、公選法を緩やかに解釈する余裕の違いを生んでいるようだ。

 各政党がネットの活用に積極的になったことで、割を食っているのが、無所属の候補者たちだ。現職当時、ネットの活用に積極的だったある候補者は、無所属で立候補したために、ネットの力を生かせない。

 安価で多数の人に意見を伝えられるネットは、本来、資金や組織のバックを持たない候補者にこそ有利なはずだ。

 それなのに大政党に属する候補の方が資金力をバックにした党のページで支援される皮肉な状況になっている。

 これまでは、ネットを使いこなす候補者や有権者が少数だったために、ネットを解禁しないことが、選挙の公平さにつながった。いまや国民の過半数、七千万人以上がネットを利用する時代だ。今回の参院選を選挙とネットを考えるきっかけにしてはどうか。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040705/col_____sha_____003.shtml