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2004年07月04日(日) 00時00分

『車が売れない』 三菱自危機  東京新聞

 三菱自動車は生き残れるのか。多くの消費者の頭に浮かんでいる問い掛けだ。リコール問題をめぐる“ウソの連鎖”で信頼は失われ、販売の落ち込みは目を覆うばかりだ。こうした中、販売会社は「車が売れない」と悲鳴を上げ始めている。強烈な逆風に見舞われる販売現場から、“三菱危機”を検証した。 (経済部・斉場保伸)

 東京都大田区の住宅街にある三菱自動車の販売店。新車をアピールするのぼりが立つが、ボーナスが出た後の週末だというのに閑散としている。

 店舗内に客は見えないが、時折三菱車は出入りする。六月から三菱自動車が始めた「ご愛車無料点検」に来るユーザーだ。社員は「このたびはご心配をお掛けしまして…」と深く頭を下げ、ユーザーのつなぎ留めに必死だ。

 三菱自動車販売協会会長の西原興一郎・兵庫三菱自販売社長によるとユーザーを訪ねて信用をつなぎ留めようとする社員には、「もういい」「来るな」という声が直接浴びせられるという。西原会長は社員に「キレるなよ」と励ましの声を掛け送り出す毎日だ。

 だが、状況は悪化するばかりだ。昨年の同じ月と比べると、軽自動車を除く新車(登録車)の販売台数は、五月は56・3%減。六月はさらに悪化し、64・3%減となり、販売会社の経営は日増しに追い詰められている。

 販売会社からは「二〇〇〇年のリコール隠し発覚の時よりもはるかに厳しい」との声も漏れる。販売台数の減少は、そのまま金融機関の融資姿勢にも響きかねない。貸し渋りが起これば、当座の運転資金さえ足りなくなり、販売店経営は根幹から揺さぶられる。

◆統合

 ところが三菱自は、限界に近づく販売店に対し具体的な支援策を打ち出せないままだ。一日、記者会見した多賀谷秀保社長は支援について「いろいろなケースがあって一概には言えない。店舗の統合などはあり得るが…」と言葉を濁した。

 無料点検では、一台につき五千円程度の支援をメーカー側から支出しているというが「新規顧客がまったくないどころか、既存客にも逃げられている」(ディーラー販売担当)という現状では、焼け石に水だ。

 西原会長は「ここまで販売が落ち込むと、店舗の統合はどんどん前倒しでやっていくしかない。人員もそれに合わせて減らさなければ」と本社の対策を待たず、“自前リストラ”に動きだす構えだ。

 三菱自の販売会社は全国百七十三社。販売拠点は五月現在で九百二十八拠点にも上る。事業再生計画では本年度、国内で三十万台の販売を目標とし、最悪二十二万台になる懸念もあるとしている。だが現実には、最低ラインの達成すら危ぶまれる状況だ。

 昨年度二十六万台を販売した富士重工業の販売会社は五十三社、販売拠点は五百四十四拠点。三菱自と比べれば会社数は三分の一、拠点は半分。単純に比較はできないが、三菱自の拠点が過剰気味との見方は否定できない。

◆甘さ

 三菱自は、車が売れた場合、店や販売担当者への報奨金を増やす形で支援する方法も検討している。しかし、それも車自体が売れなければ販売会社にとっては意味がない。

 多賀谷社長は「九月に新車を出して販売を回復したい」と期待を口にした。これに対し、リコール隠しで二度裏切られた消費者の拒絶反応を、肌で知る現場の販売担当者は「厳しい状況はまだまだ続く。そう簡単に一度離れた消費者が戻ってくるとは思えない」と、本社がこの期に及んで持ち続ける甘い期待を一蹴(いっしゅう)している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040704/mng_____kakushin000.shtml