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2004年06月29日(火) 08時33分

会員権乱売の茨城CC、破産手続き13年ぶり終了へ読売新聞

 ゴルフ会員権乱売事件の舞台となった「茨城カントリークラブ」(茨城県高萩市)の破産手続きが、7月の債権者集会で終了する。

 裁判所の破産宣告から13年近く。被害に遭った約1000億円の返金を求めた会員約4万9000人の手元に戻ったのは、わずか3%だけだった。

 このうち、連絡のつかない会員も約3500人いて、約2億5000万円が配当されずに供託されるという異例の事態も起きている。バブルの象徴だったゴルフ場は、マツの栽培場に姿を変えた。

 茨城CCを巡っては、募集人員(2830人)を大幅に上回る約5万1000人に会員権が乱売され、1991年10月、実質的な経営会社「常陸観光開発」に、水戸地裁が破産を宣告した。翌92年4月には、実質オーナー会社「ケン・インターナショナル」と水野健元社長(70)(詐欺罪などで懲役10年、罰金7億円の実刑確定)に、東京地裁が破産を宣告。会員のうち約4万9000人が債権を届け出た。

 関係者によると、破産管財人の大橋堅固(けんご)弁護士が、両社や水野元社長の資産を調査した結果、元社長が350億円以上を米国に持ち出し、国内にはゴルフ場以外にめぼしい資産は残っていないことが分かった。会員への配当原資を捻出(ねんしゅつ)するには、米国へ流出した資金を取り戻し、工事中のゴルフ場を完成させて売却するしかなかった。

 水野元社長は、持ち出した資金をカリフォルニアの一流ゴルフコースやホテルなどの買収に充てていたが、米司法当局にマネー・ロンダリング(資金洗浄)と認定され、資産は差し押さえられていた。

 渡米した管財人団は、連邦地検検事に対し、日本に被害者が多数いる実態を説明。「不動産を換価して戻してほしい」と数回にわたり直談判した。

 その結果、米司法当局との間で93年、元社長に代わって大橋弁護士がマネー・ロンダリングで有罪を認め、米国が資産を日本に戻すという異例の「司法取引」が成立。約37億円を取り戻すことに成功した。

 その一方、ゴルフ場の売却は難航を極めた。ゴルフ場は95年に完成したが、すでにバブル経済は崩壊。管財人団は全国紙に広告を出したり、競売にかけたりと、手を尽くして買い手を探したが、なかなか見つからなかった。結局、都内の雑貨輸入会社に売却できたのは昨年7月のこと。だが、売却価格は、ゴルフ場総工費の30分の1にも満たない3億1000万円に過ぎなかった。

 管財人団は最終的に四十数億円を集めたが、ゴルフ場の工事代金や滞納していた固定資産税などを差し引いた結果、約30億円が被害額に応じて会員に配当された。

 また、会員の中には、破産手続きに時間がかかったため、住居移転などで連絡がつかなくなった人が約3500人おり、約2億5000万円が配当できない状態になった。管財人団は昨年、同額を東京法務局に供託したが、会員が支払いを請求しなければ、あと数年で国庫に入るという。

 最後の債権者集会は7月21日午後、東京地裁で開かれ、大橋弁護士が計算報告を行う。報告に異議がなければ、裁判所が破産終結を決定することになる。

 債権者の1人で、240万円をだまし取られた都内の主婦は「戻ってこないものは仕方ない。もう忘れたい」と言葉少なだった。

 茨城CCを買収した雑貨輸入会社の関係者によると、ゴルフ場には造園用のアカマツの苗が数万本植えられたという。関係者は「将来、ゴルフ場に生まれ変わる可能性はない」と話している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040629-00000101-yom-soci