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2004年06月27日(日) 03時26分

独居痴呆老人狙った訪販トラブル激増 成年後見制度普及が処方箋産経新聞

無防備な財産管理 取消権、抑止力に
 お年寄りのために財産管理の代行などをする「成年後見制度」。だが、日本の風土に合わないのか、制度は欧州のように普及していない。大半の財産管理が無防備になっているスキをつくかのように増えているのが、独り暮らしの痴呆老人を狙った訪問販売のトラブルだ。全国の被害はこの六年間で四倍と激増している。専門家は「成年後見制度が普及すれば、悪質な訪問販売の被害が減るのに」と訴えている。(草下健夫)
≪“車の両輪”≫
 成年後見制度は介護保険制度と並ぶ“車の両輪”の一つとして、四年前にスタート。判断能力が衰えたお年寄りをはじめ、精神障害、知的障害の成人の財産管理や身の回りの保護、契約などの法律行為を本人に代わって後見人が行う制度。
 最高裁によると、後見人の利用を申請する申し立ては昨年度までの四年間で計四万三千九百五十六件。しかし、痴呆性高齢者は百五十万人程度いるとされ、制度を必要とするこうした人にはほとんど行き届いていないことが分かる。
 日本成年後見法学会の新井誠理事長(筑波大大学院教授)は「独仏英では人口の1%が利用している状況からすると、日本は百二十万人の利用があっていいはず」と指摘する。
≪不安つけこむ≫
 「アルツハイマーの母の家に二人組がやってきて、高額な浄水器を取り付けられ、無理やり押印させられた」「痴呆の母が和服、布団など多額の契約を次々とさせられた」「セールスマンが八十代の母の家に来て、『家が腐る』と床下換気扇を買わされ、三百万円の支払いが残った」…。
 国民生活センター(東京)など全国の消費相談窓口に寄せられた、契約者本人が七十歳以上の相談は、平成九年度の約二万三千件から昨年度は約八万九千件と、わずか六年間で急増している。
 同センターは「貯蓄や年金を狙い、健康、住宅、生計といった老後の不安につけこんで契約を迫る例が後を絶たない」(情報分析部)と深刻な現状を訴えている。
 だからこそ、成年後見制度の普及が求められている。業者が痴呆性高齢者に高額な商品を売りつけても、後見人があとでそれを知って無効にできる「取消権」があるからだ。ただ、財産の管理を家族が他人にまかせたがらない風潮が普及のネックとなっている。また、後見人となった親族が預貯金約四千万円を着服した事件が埼玉県内であり、制度不信を一部で招く要因ともなっている。
 丸尾直美・尚美学園大学教授(福祉政策)は「わが国では高齢者を主に家庭が支えてきたが、いまは、契約に基づいて公的に支えるシステムに移行する過渡期にあたる。成年後見制度が浸透していないため、高齢者受難を招いている」と話している。
     ◇
 成年後見制度 家裁が申し立てに基づいて、後見人の選任を行う制度。後見人には親族のほか、弁護士、司法書士などの専門家が就くことが多い。老人らの見守り役として介護や医療、法律問題などで調整を図る。法定後見は老人らの症状の重い順に「後見」「保佐」「補助」の3類型がある。任意後見は本人が健康なうちにあらかじめ信頼する後見人と契約しておくもの。(産経新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040627-00000000-san-soci