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2004年06月27日(日) 00時00分

仮想世界の“虚実” ネットゲームは今<下> 東京新聞

 多くの人を引きつけるオンライン・ロールプレイングゲーム(MMORPG)だが、海外ではマイナス面も顕在化している。

 仕事や学校を辞めてしまうほどにゲームに没頭してしまう、「ネット依存症」。聖剣や魔法のつえといったゲーム中のアイテムを現金で売買するリアルマネートレード(RMT)…。

 ゲーム問題に詳しい立命館大大学院の新清士講師は「韓国や中国では数日間ゲームを続けた人が激しい疲労や極度の緊張状態のため死亡する事件も起きた。また韓国では、暴力団が資金稼ぎにソウルへ家出してきた少年にゲームでアイテムを集めさせ、仲介会社で換金していました」と語る。

 「日本でもすでに問題は起きている」と指摘するのは、ネットライター森一矢さん。ネットゲームの中で取材し、プレーヤーにも直接会った経験から、「妻がゲームにはまって離婚したり、ゲーム中の家欲しさに、その所有者と『援助交際』した女性もいます。国内にもRMTの仲介ホームページがあり、貴重なアイテム欲しさに不正アクセスした少年が摘発されたケースもあります」。

 こうした状況にネットゲームの運営会社が何もしていないわけではない。ホームページ上で健康への注意を促し、規約で他人のIDを使った不正アクセスやRMT禁止をうたっている。違反が判明すればゲームに参加させない処分もしている。だが、RMTはネット上での取引だけに現場を押さえることが困難で、不正アクセスも含めて対応に苦慮している。

 四月には、人気MMO「ラグナロク」を運営するガンホー・オンライン・エンターテインメントなど五社が共通の健康ガイドラインを公表した。「一時間に十五分程度は休息を」「飲酒時や睡眠不足時はゲームをしない」など六項目だが、同社の森下一喜社長は「注意喚起が目的。これで百%解決するとは考えていない」と話す。

 「依存症」はMMOで起こるのか−。精神科医の斉藤環さんは「人とつながる感じはとても魅力が大きい。MMOには終わりがないし、人間関係もあるから離れられない。テレビゲームよりはるかに刺激性が高く、何らかの規制は必要」と警告を発する。

■韓国では治療ホームページ

 ゲーム研究者、ソウル大の魏晶玄助(ウィ・ジョンヒン)教授は「流行の背景には現代社会での人間関係の寂しさや挫折がある。依存も家族や周囲の人間関係に問題のある場合が多い」と指摘する。韓国では政府が治療専用ホームページを開設したという。

 社団法人コンピュータエンターテインメント協会は五月に発足した特別委員会にネット依存などの課題を検討するグループを設置する予定。ブロードバンド推進協議会も同様な取り組みを始める。

 ただし、その一方でMMOの有効活用の可能性も議論されている。ゲームと人の関係を研究しているお茶の水女子大の坂元章教授(社会心理学)は、「MMOは対人関係が苦手な人のセラピーに応用できる。共同作業もできて、病気や障害などで外出できない人たちや海外との交流に利用できる」と指摘する。

 その上で同教授は「ネットのコミュニティーは大きく広がる。子どもたちにはメディアリテラシー(媒体の情報を読み解き使いこなす力)の教育が必要。そのためにも、親や先生は子どもと一緒にゲームをやってみてほしい」と提案する。 (飯田 克志)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040627/ftu_____kur_____000.shtml