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2004年06月23日(水) 03時10分

「エイズ、献血で分かる」が7割…高校生意識調査読売新聞

 「献血でエイズウイルス(HIV)感染を検査できる」。献血の際の検査結果は本人に通知されないことになっているにもかかわらず、高校生の約7割がそう思っていることが22日、松田重三・帝京大教授(免疫血液学)らの調査で明らかになった。

 HIVに感染した血液が検査をすり抜けたケースも実際にあることから、松田教授は、感染の不安を感じている人による検査目的の献血が増えれば輸血の安全性が損なわれる可能性が高くなるとして、「若者への啓発を急ぐ必要がある」と訴えている。

 調査は、民間活動団体(NGO)「アクト・アゲインスト・エイズ」(東京)が、全国の高校生約9500人を対象に実施。同団体の医学アドバイザーを務める松田教授が分析した。調査結果の詳細は23日から札幌市で始まる日本輸血学会総会で発表される。

 日本赤十字社では、献血血液がウイルスに感染していないかをチェックするため、高精度検査を行っている。しかし、昨年末にはHIVに感染した献血者の血液が高精度検査をすり抜け、輸血を受けた患者が感染するという事故も起きており、日赤は検査目的の献血を抑制するために、HIV感染が判明しても原則として本人への通知はしない。

 ところが、今回の調査で、「献血でHIV感染を検査できる」と答えた高校生は67%に上った。一方、全国の保健所で行われているHIV感染の無料匿名検査については、30%の高校生が知らなかった。

 国内の新規のエイズ患者・感染者は年々増えており、昨年は976人と過去最多を記録した。松田教授は「若い人が『献血すればエイズ検査もしてもらえる』と思い込んでいる現実は、輸血に伴う感染リスクの増大につながる。事態は深刻だ」と指摘している。

         ◇

 同調査では、高校生の間に、HIV感染に関する基本的な知識が浸透していない実態も明らかになった。

 エイズは遺伝しないにもかかわらず、「遺伝する」と回答した生徒は52%に達した。また、虫やペットからは感染しないが、26%が「HIV感染者を刺した蚊やダニに刺されたら感染する」と回答。「犬や猫からも感染する」と答えた生徒も24%に上った。

 文部科学省は1998年以降、中学・高校の授業にエイズ教育を盛り込むよう学習指導要領に明記。厚生労働省でも、学校に専門家を講師として派遣する事業を近く始める。今回の調査結果について、厚労省は「行政の自己満足では意味がない。どうすれば若者の心に響く啓発活動ができるか、早急に考えなければならない」としている。

 ◆高精度検査=日赤が1999年に導入。遺伝子を構成する核酸を特殊な装置で増やし、ウイルスの有無を確かめる。従来の検査法に比べ、はるかに少ない量のウイルスを検出できるが、感染初期にはウイルス量が検出可能量の下限を下回ることもあり、「すり抜け」を完全に防ぐことはできない。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040623-00000501-yom-soci