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2004年06月18日(金) 00時00分

輸入CD規制 厳しい監視を怠るな 東京新聞

 音楽愛好者らの反対を無視し、海外からのCD輸入を禁止できる著作権法の一部改正が成立したのは、遺憾なことだ。法律の運用や市場の動きに監視を怠らず、必要となればすぐに声を上げよう。

 今回の改正は、日本からのライセンスでアジア諸国が作る安い邦楽CDの、わが国への逆輸入防止が名目だった。それが国内盤より安い欧米製作の洋楽CDも輸入禁止できるとわかり、音楽ファンや評論家、一部国会議員も含め国民の反対が高まった。それを無視した改正に強く抗議したい。

 国会の付帯決議や日本レコード協会は、消費者の利益を損なわないことにも言及するが、これには法的拘束力はない。法律の条文をよりどころにする限り、輸入盤CDが店頭から姿を消す懸念はぬぐえない。

 輸入禁止の前提は、国内盤と輸入盤の値段の差が開くことだ。実際に輸入禁止にならなくても、それを恐れる輸入業者らが、輸入盤を値上げする可能性がある。在庫の輸入盤がある日突然、禁止対象になるのを心配し、業者が輸入を手控えることも予想される。

 国民は、特定のCDが輸入禁止になる法律の運用だけでなく、CD市場で輸入盤が高くなったり、種類や数が減らないか、厳しく監視する必要がある。国民の選択肢が制限されると、音楽文化の衰退につながる。事態が悪化したらただちに、法の見直しを求める行動が迫られよう。

 今回の問題を通じ、わが国レコード業界の体質には、強い疑念を抱かざるを得ない。

 CDの売れ行きが落ちた時、業界は不正コピーの普及が原因と決めつけ、パソコンでコピーできないCCCD(コピーコントロールCD)の発売を始めた。だがCCCDは高くて音質が悪く、再生機器を損傷することもあるなどと評判が悪い。CCCDを嫌って移籍する歌手らも現れている。

 そんな状況に加えて、今回の輸入盤CDを脅かす著作権法改正である。強引な法律を背景に国民の反感を買うことなく、国内盤の値下げ、新しい曲や演奏者の発掘、魅力のある企画などでファンを引きつけるまともな努力をなぜ惜しむのか。国民とともにあってこそ、業界の発展も可能となる。

 著作権など保護の名の下に、実際は業界の利益擁護に走っているとしか思えない文化庁の姿勢にも問題がある。文化庁設置の目的はわが国文化の振興で、特定業界の保護ではない。文化庁の役人も公務員の一員のはずだ。国民全体の奉仕者との自覚を忘れてはならない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040618/col_____sha_____003.shtml