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2004年06月16日(水) 20時51分

テレ朝ダイオキシン報道訴訟が和解 東京高裁朝日新聞

 埼玉県所沢市産の野菜がダイオキシンに汚染されているとテレビ番組「ニュースステーション」で報道され、野菜価格が急落したとして、同市の農家ら29人がテレビ朝日に損害賠償と謝罪を求めた訴訟は16日、差し戻し後の東京高裁(大藤敏裁判長)で和解が成立した。和解の内容は、テレ朝側が農家側に謝罪したうえ、和解金1000万円を支払う、というもの。

 具体的な謝罪の言葉としては、「(報道に)不適切な部分があり、所沢産の葉物野菜の安全性に疑いを生じさせ、農家に多大な迷惑をかけた」と和解文書に記された。

 農家側は「謝罪の内容が納得でき、名誉回復という当初の目的が達成された」と受け止め、和解に応じた。そのうえで、「当初から賠償金目的の訴訟ではなかった」として和解金のうち900万円は三宅島の農業再建に、残る100万円は所沢市の子供の「食農教育」のために、寄付することを明らかにした。

 一方で農家側が求めた「謝罪放送」については和解文書に盛り込まれなかった。テレ朝側は「不法行為責任を認めることになるため応じることはできないが、16日夜のニュースで和解内容を詳しく放送する」と話した。

 一、二審では「報道の主要部分は真実だ」としてテレ朝側が勝訴した。しかし、上告審で最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は昨年10月、放送内容が名誉棄損にあたるかどうかについて「一般の人の視聴の仕方を基準に、放送全体から受ける印象なども総合的に考えて判断すべきだ」とする基準を初めて示した。そのうえで「放送内容が真実だったとは証明されていない」と述べ、二審判決を破棄して審理を東京高裁に差し戻し、同高裁が双方に和解を勧告していた。

 最高裁判決にかかわった5人の判事のうち、泉徳治裁判官は、「根源的な原因は、報道が取り上げた廃棄物焼却施設の乱立にあった。テレ朝の報道の全体的な意義を評価することに変わりない」と付言。テレ朝側はこの点も踏まえて和解勧告に応じた。

(06/16 19:55)

http://www.asahi.com/national/update/0616/018.html