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2004年06月16日(水) 00時00分

三菱自動車 企業存続の正念場だ 東京新聞

 次々と出てくる欠陥隠しにあ然とする。これで自動車メーカーとして存続できるのか。危ぶむ声が出てきた。再建計画を見直す動きもある。がけっぷちから出直さねばならない。

 会社ぐるみのリコール隠しの疑いで河添克彦元社長らが逮捕された三菱自動車は、経営に対する信頼をすっかり失った。それに加えて十四日の三菱ふそうトラック・バス社長の発表によれば、ブレーキやアクスルシャフトなど車の本体にかかわる部分に技術的な欠陥があり、公表せず放置されたために人身事故も起きていたことがわかった。

 自動車の安全を保つためのメーカーのリコールは増える傾向だが、三菱自の場合はあまりに欠陥が多すぎるために会社ぐるみのリコール隠しを続けざるを得なかったのだと、ようやく筋道がわかってきた。しかし、そのような企業姿勢は容認できるものではない。

 自動車技術は年々精密化している。小さな欠陥でもすぐ届け出る基本姿勢を社員全員に訓練しておかねばならない。外部から法律順守を監視する仕組みが必要かもしれない。

 安全の軽視はユーザーのもっとも嫌うところである。先月の新車販売台数が半減したそうだ。今後の売れ行きにも影響が出ることは必至だ。これだけ欠陥情報が相次いではやむを得まい。ユーザーの信頼をつなぎ留めるには、三菱車の総点検も必要と考える。

 三菱自動車は三菱グループの支援を受けて、再建計画をスタートさせるが前途は多難だ。業績が伴わなくては計画の見直しも迫られる。すでに本社の京都市移転や人員削減を前倒しする動きもある。

 支援を打ち切った独ダイムラークライスラーが、提携の際の情報が適切でないとして補償を要求すると伝えられているが、これは理屈が合わない。資本提携していったんは経営の内側にいたのだから、その間に欠陥隠しを発見し公表する責任があったはずだ。むしろ共同責任であると、消費者には見える。

 この三菱自問題について日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「リコール隠しをしたら、すぐクビだ」と言ったそうだ。これは当たり前のことを言っただけだが、不思議に新鮮に聞こえる。

 国土交通省はこれまで技術情報は業界サイドに依存してきた感がある。今後はユーザーの安全を守る立場に立って厳しく監視していくべきである。そうすれば、三菱自のような問題はもっと早く発見でき、対策も迅速に進められるはずだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040616/col_____sha_____002.shtml