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2004年06月13日(日) 00時00分

一から教えて 裁判員制度 裁判官と有罪・無罪決める 東京新聞

 先月、国会で成立した裁判員法。これで、各地の地方裁判所で重大な刑事裁判の審理に立ち会い、裁判官と一緒に有罪・無罪などを決めていく「裁判員制度」が、二〇〇九年に始まることになった。原則、二十歳以上の国民なら裁判員に選ばれる可能性があるというが、そう簡単に引き受けられるものなのか、内閣・司法制度改革推進本部事務局の企画官、上冨敏伸さんに聞いた。 (鈴木 久美子)

■重大刑事事件に有権者から6人選出

 Q 裁判員の選び方は?

 A 地裁が毎年、各都道府県の選挙人名簿から無作為に選び、裁判員候補者名簿を作成する。載った人には通知し、具体的な公判の期日や審理日数が決まると、この名簿から裁判員候補者をくじ引きなどで無作為に抽出する。

 最終的に選ばれるのは裁判員六人と、場合によって補充裁判員数人だが、その数倍の候補者が選ばれる。呼び出し状が送られてきたら、決められた日に裁判所に行かなければならない。

 Q 裁判員になることを断れない?

 A いいえ。七十歳以上や、地方自治体の議員、学生、重い病気や家族の介護などで裁判所へ行くのが難しい人、零細企業の社長で職場を離れると会社がつぶれるなど損害が大きかったり、父母の葬式に出る、といった人などは辞退できる。逆に、国会議員や裁判官、警察職員、自衛官らは裁判員になれない。また、被告や被害者とごく親しい間柄だったり、事件に対して特定の考えを持っている人など、公平な判断ができないと裁判所が判断した人は選ばれない。

 Q 「法律はよく分からない」という人は?

 A それで結構。法の解釈は裁判官が行うので、「知らない人」に参加してもらうところに意味があり、辞退する理由にはならない。

 Q しかし裁判員は生涯、守秘義務を負うのでは?

 A 法廷で知った内容は明かしても構わないが、他人のプライバシーや、(法廷外で行われる)評議の中身にかかわることは公表してはいけない。評議の場での自由な発言を保障するためだ。

 たとえば感想を聞かれて「大変だった」と答えるのは構わないが、「迷った」と言うのはいけない。何について迷ったのか、という点で中身に触れざるを得なくなるから。

 Q 難しそうだが…。

 A (守秘する)内容は、これから具体的に分かりやすく示していく必要がある。

 Q かかわる日数はどれくらい?

 A 事件によって異なるが、通常は選任に一日、法廷での審理に二、三日から一週間、評議・評決に一、二日として、全体で十日間以内だろう。

 Q その間、勤め人は仕事を休むのが不安では?

 A 労働基準法で、勤務時間中に公民の権利を行使するのを雇い主は拒んではならないと定めているし、裁判員法でも解雇や不利益な取り扱いを禁じている。今後、個々の企業に浸透していくよう政府がしっかり説明していくことが必要だ。

 Q 託児所も必要では?

 A 議論はあるが、現段階では決まっていない。実際のニーズがどれくらいあるのかを見ていく必要がある。

 Q 日当はいくら?

 A 検察審査会の審査員の日当(最高額八千五十円)などを参考に最高裁がこれから決める。交通費は実費で、宿泊が必要な場合宿泊費を支払う。

 Q 被告人から逆恨みされるという不安もあるのでは?

 A 普通はめったにないが、裁判員の保護のため、名前や住所は公表してはいけない、としている。

 Q 法律の専門家と同席して、遠慮なく発言できるか。

 A 裁判員と裁判官は対等。議論の途中でいい意見を言おうとしたり、世間の評判を気にする必要はない。裁判官の説明や具体的に示された証拠に基づき、疑問点を何でも出して議論する。思いつきや、わざとする反論でも、気づいたことは自由に話すのがいい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040613/ftu_____kur_____000.shtml