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2004年06月10日(木) 06時00分

出生率1.29に低下 03年、政府想定下回る朝日新聞

 日本人女性1人が産む子どもの平均数を示す「合計特殊出生率」が、02年の1.32から03年に1.29へ低下し、戦後初めて1.2台に落ち込むことがわかった。近く厚生労働省が確定値を発表する。政府の基本的な想定を外れる水準で、このまま推移すれば、社会保障制度の設計や将来の経済活動などに大きな影響を及ぼす可能性が強い。今回の年金改革で政府・与党が公約した「現役世代に対する給付水準50%の維持」も前提が揺らぐことになり、論議を呼ぶのは必至だ。

 日本の出生率は75年以降、低下傾向が続く。ドイツ、イタリアなど他の先進国では近年、少子化の進行にほぼ歯止めがかかっており、専門家が「超少子化」と指摘する国のなかでも、日本の現状は突出している。

 日本の人口は従来の予想でも3年後に減少に転じる。出生率の低下傾向がこのまま続けば、労働力や消費の減少による企業活動の低迷、経済成長の鈍化や地域社会の活力低下などが、より現実味を帯びてくる。

 政府は95年度から本格的な少子化対策に着手。育児休業制度の整備、病気の子どもの看護休暇制度の普及促進、保育所の充実などの子育て支援や、乳幼児や妊婦への保健サービスの強化を進めてきたが、十分な効果は上がっていない。

 03年に生まれた子どもは推計112万1000人で前年より3万3000人減った。近年の出生数1万人は、ほぼ出生率0.01ポイント分にあたる。

 出生率の低下は、20代の女性が、今まで以上に子どもを産まなくなっているのが大きな要因だ。もともと年齢別の出生率は20代後半が最も高いが、少子化時代の初めに生まれた現在の20代は、人口そのものが少ないうえに晩婚化が進んでおり、全体の出生率への影響が大きい。

 国立社会保障・人口問題研究所が02年1月に公表した予測は三つあり、生涯未婚率の全国平均に基づく中間的な予測(中位推計)の場合、03年の出生率を1.32と算出。その後、07年に1.30台で底を打ち、50年にかけて徐々に1.39近くに回復すると見込んでいる。

 しかし、これまで5〜6年ごとに改訂された中位推計は、80年代から下方修正が続いている。東京都の生涯未婚率を基準にした最も低い予測(低位推計)では、01年の出生率が1.32、02年が1.29、03年が1.27となっており、現状はほぼ1年遅れで低位推計をなぞっている。

 政府は、対応の強化のため、6月初めには「少子化社会対策大綱」を閣議決定。04年度中に新たな具体策(新新エンゼルプラン)をまとめるが、様々なライフスタイルに応じて、より子育てしやすい環境を整備することなどが課題になりそうだ。

(06/10 06:00)

http://www.asahi.com/national/update/0610/002.html