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2004年06月10日(木) 16時04分

堺市の住基ネット ずさん運用 契約結ばず業務を委託産経新聞

2カ月間 要綱や条例に違反し
「孫請け参入」交渉遅れ
 堺市が、今年度の住民基本台帳ネットワークの運用管理業務について、五月の末まで委託契約をしないまま富士通と下請け企業に任せていたことが十日、わかった。堺市では昨年度と同じエンジニアだけに任せており、現実には問題はなかったと説明するが、契約関係のない複数の人間が二カ月間、個人情報が集積されたシステムの中枢に出入りしていた形になる。
 堺市の説明によると、今年三月末に富士通との今年度の契約を結ぶために交渉をスタート。富士通側は、堺市と美原町の合併を来年二月に控えて業務量の増加が見込まれることなどから、孫請け業者までを入れた契約を申し入れてきた。
 しかし、堺市が独自に策定している「情報セキュリティ対策基準要綱」では、下請けまでしか契約ができない内容になっているため、交渉が滞った。
 同市では、他の業者に任せることもできないため、この間、昨年度出入りしていた業者のエンジニア四人を電算室に引き続き入れて、運用管理を行わせていた。
 五月二十六日になって田中丈悦・堺市議の指摘を受け、二日後に契約書が下請け業者までを入れた形で交わされた。契約書には、四月一日にさかのぼった日付が記入されていた。
 また、堺市では、情報関連の運用管理業務に関して下請け業者と契約を交わす際には、情報漏洩(ろうえい)の防止などの観点から企業の誓約書と、出入りする技術者の顔写真入りの誓約書を取ることになっている。しかし、今年度については、現在もこうした誓約書の提出を受けていないという。
 堺市は、住基ネットの緊急時対応計画書の中で、こうしたシステムのある場所への無権限者の侵入は、もっとも脅威度が高い−と定めており、対策としてはシステムの停止などを定めている。
 今回、堺市は、こうして自ら定めたマニュアルや要綱、条例などに反してネットワークの根幹にかかわる運用管理業務を、関係のない第三者に委ねていたことになる。また、文書への押印をもって契約の締結が確定すると定めた地方自治法二三四条に抵触するおそれもある。
 堺市は「他に委託先が考えられないので引き続きお願いした。文書は交わしていないものの、富士通側と業務内容そのものについての合意はできており、本契約は成立していた、と認識している」としている。
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 ≪富士通の話≫「責任者と連絡がつかないので、現時点ではコメントは控えたい」
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 ■住民基本台帳ネットワーク 市区町村が作成した住民基本台帳をオンラインシステムで結んだもの。氏名や生年月日、11けたの住民票コードなどを届け出れば、居住地でない自治体でも本人確認を行うことができる。住民基本台帳法改正を受けて、平成14年8月に稼働した。しかし、一部自治体は「個人情報の漏洩や不正使用の危険性が高い」として参加していない。(産経新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040610-00000035-san-soci