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2004年06月09日(水) 00時00分

小6少女@現在 <4>居場所探し 作家・佐藤智加さんに聞く 東京新聞

 小学六年生ぐらいのころ、少女の心はどんな風に揺れ動くのだろう。周りの大人はどう見守り、支えてあげればいいのか−。十七歳のとき、心と身体のアンバランスをテーマにした小説「肉触」で作家デビュー。その後も人間の内面を追求する作品を発表し続ける作家・佐藤智加さん(21)に、自身の少女期を振り返りつつ、語ってもらった。

■『目の前の世界 すべてじゃない』

 −小学六年の時の友達関係は?

 いじめ問題が深刻な時で、教室の中はすごくピリピリしてた。女の子はグループに分かれ、リーダー絶対主義で、「今日はあの子ね」とリーダーが指名した子はその日一日、いじめられる。無視され、遊んでもらえず、物を隠された。その陰湿さが性に合わず、私は学校が大嫌いだった。

 −少女期の友達関係が難しいのは、今に始まったことではないのでは?

 母が昔「女の世界はじゃんけんの世界。常に勝負している」と言っていた。小学生に限らず、そういう面があるんじゃないかな。しかも今はすごく、一人一人に精神的な余裕がない。「自分は自分」と考えられなくて、身近な関係が悪くなるとアップアップ。「もうやっていけない」「居場所がない」と自分で自分を追い込んじゃう。余裕を持って物事に当たれば、何か一つダメでもほかにやっていけるところが必ずあるはずなのに。

 −今の子はそんなに余裕がない?

 塾や習い事に行かず、学校と家庭しか存在する場がない子だと、学校でうまくいかないと「もうダメ」と思いがちだ。でも私のころは、両親が「もっと大きな世界がある」と教えてくれた。家庭は100%味方。学校で四面楚歌(そか)になっても後ろに一枚、自分を守ってくれる壁があった。

 それに私は六歳で小説家になると決めていて、学生から抜け出た未来の自分に「希望」を持っていた。根拠のない希望だけど、頭の片隅にいつも「目の前の世界がすべてじゃない」という思いがあった。

 −今回の事件の加害女児は小説家志望で、「苦汁、絶望、苦しみが私を支配する」と詩につづっていた。希望を抱くか絶望するか、隔てるものがあるとしたら?

 母はこういう事件があると「(今の子は)文学の勉強が足りない」なんて言うけど、独りでゆっくり過ごす時間と、ちょっと離れた場所から自分自身を客観的に見つめる作業は必要かも。いざこざの中に飛び込んじゃうと、頭では分かっていても逃れられない。私は喫茶店や家のベランダでボーッと過ごすことが多い。そういう時間て意外に大切だと思う。

■容姿、成績…四面楚歌でも

 −容姿に関する書き込みが犯行の引き金の一つになったといわれているが。

 子どもの世界では、頭のいい子や運動のできる子、容姿がいい子がリーダーになれる。でも実のところ、容姿は当てにならない。容姿の優劣は年齢で変わるし、肝心なのは、自分の魅力をどこでどう発揮するか。容姿を気に病んでいるみんなに伝えたい。「今の容姿がすべてじゃない。女は化けるよ」「趣味を持って自分の引き出しを増やして」と。

 −敏感な世代の少女たちへメッセージを送るとしたら?

 育ち方や感じ方は人それぞれ。何がいいのか悪いのかも一概には言えない。今回の事件で少女が凶行に及んだ理由も、私には分からない。

 だけど閉塞(へいそく)感にさいなまれている子がいたら、自分の経験から「目の前の世界がすべてじゃない」と伝えたい。「絶えず勝負する必要はない。勝負すべき場所を選んで」とも。親も、そう教えてあげてほしい。

 (この企画は、飯田克志、岩岡千景、杉戸祐子、鈴木久美子、藤英樹が担当しました)

 さとう・ともか 1983年、名古屋市生まれ。17歳の時、『肉触』で第37回文芸賞優秀作受賞、作家デビュー。昨年『壊れるほど近くにある心臓』が三島賞候補に。現在、神奈川県内の大学の3年生。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040609/ftu_____kur_____000.shtml