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2004年06月08日(火) 00時00分

小6少女@現在 <2>ストレス 群れから離れまいと気疲れ 東京新聞

 今度の事件で加害女児は犯行に及ぶかなり前から、被害女児を含めた級友たちに乱暴で攻撃的な口調で接していたという。イライラして、怒りっぽい小学生。思春期の入り口ともいえるこの時期、女の子はストレスを感じやすいという。なぜなのか、どうしたらストレスを解消できるのか。東京成徳大学子ども学部長の深谷昌志さん(教育社会学)に聞いた。

■話せる本当の友達がいない

 −女の子がストレスを感じやすい時期は?

 小学五、六年生から中学一年生ぐらいの年ごろが、非常にストレスを感じやすい時期。生理が始まる。外見的には大人に見られる。仲間内では、発達の早い・遅い、もてる・もてない…などの差が出てきて、本人もすごく意識し、混乱する。精神の危機といってもいいほどだ。

 −友人関係の影響は?

 女の子は群れるので、クラスや仲間など「集団の中で暮らす」ことが、大きな意味を持つ。「学校が疲れる」と答えるのは男子より女子に多い。群れから離れないようにと気を使い、笑うことも関心事も周囲に合わせるからだ。大半の小中学生が「友達が欲しい」と答えるのに、実際には「何でもしゃべって親身に相手を思いやる本当の友達」を持てないでいる。

 −ストレスがたまるばかりでは?

 国際比較調査をすると、実は日本の子どものストレスは少ない。朝起きて「疲れている」という子どもは、家族が崩壊した米国や受験勉強に追われる韓国などに比べて少ない。ただ、よその国なら明るくはねつけるのに、日本の子どもはストレスの対処法が下手。前述したように、本当の友達づきあいを経験していないからだ。

 −なぜなのか。

 ひと昔前のように、異年齢の子どもたちの中で育っていけば、自分の主張を言っていいのかどうか自然に覚えていく。しかし、今どきの子どもたちはそういう人間関係を経ていないので、ストレスを解消する技術が身に付いていない。ストレスをためる容量も小さく、どうってことないと大人が思うような言葉に大きなダメージを受ける。

 −周囲はどう対応すればよいのか。

 親や先生には「バードウオッチングをするつもりで」とアドバイスしている。悩みがあっても子どもは親に言わないこともある。だから、直接立ち入らなくても、遠くからよく子どもを見ていれば、表情がよくないとか変化があれば何か分かるはず。それと、自分がその年ごろだった時の性の話や失敗、友達とのけんかのことなどを話し、子どもが言うこともちゃんと受け止めてほしい。一過性なので、土台に親との絆(きずな)がしっかりできていれば、友達のことでストレスが生じても乗り越えていける。

 事件の全体像はまだつかめないが、傷つくとすぐに怒る、ささいなことにショックを受ける。小学六年の女の子の中に、こんな予備軍はたくさんいるということを覚えておいた方がいい。

■子どもの本音

 「女の子同士のトラブルはよくある」。埼玉県のA子さん(12)は、最近学校で起きた“事件”を話してくれた。「クラスの女の子が、靴に画びょうを入れられたり、脅迫状みたいな手紙を送りつけられたりして大騒ぎになった。誰がやったかまだ分からないけど、女の子なのは確か」

 川崎市のB子さん(11)は「裏切られるのがこわいから、一人の子と深く付き合わないようにしている。本当の親友がいればいいんだけど…」と打ち明ける。「男子とはけんかしても翌日すぐ仲直りするけど、女の子同士だとなぜかあとあとまで引きずる」

 同じく川崎市のC子さん(11)は、「もし友達に裏切られたら、その子に直接、『なぜ裏切るの』と言いたいことを全部ぶちまけて、絶交する。顔も見たくない」。その友人のD子さん(11)も「秘密をばらされたら、私も相手の秘密をばらして仕返しする」と言う。それでも二人とも、「殺しちゃうとか、そこまでは考えない」。

 つらい時、打ち明ける相手はいるの? 「一番仲のいい親友にしか話さない。メールや公園とかで『イライラしてるんだ』と愚痴をこぼすと、ほっとできる」(C子さん)。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040608/ftu_____kur_____000.shtml