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2004年06月06日(日) 00時00分

小6少女@現在 <2> ネットの落とし穴 東京新聞

 今度の事件では、小六女児は二人ともインターネットでチャットをしていた。そこで書き込まれた言葉を、加害女児は「悪口」ととらえ、憎悪の気持ちを増幅させる引き金になったといわれる。小学生とネット。どれほど身近なものなのか−。

 パソコンで検索すると、小学生が運営するホームページが次々と見つかる。

 十一歳のある女子のホームページには自己紹介のほか、誰でも書き込みができる掲示板コーナーがある。最新の話題は「席替え」「校外学習」「流行のマンガ」など。運営者を含めて四人の女子が盛んにやりとりしている。

 毎回、お小遣いの残額を記録しているのがほほ笑ましいが、「新学期どころじゃない。地中に潜りたい」「もう学校なんてどうでもいい」「いやだ。行きたくない」といった表現もあった。

 小学生向けに開設された掲示板やチャットサイトもあふれ、話題はさまざま。「修学旅行はどこに行く?」「寝る時間を教えて」などたわいもないものもあれば、今回の長崎・佐世保の事件について考えたこと、「この書き込みを見たら七日以内に無残な姿で死ぬ」など、陰湿な雰囲気の書き込みも。

    ◇

 財団法人インターネット協会のネットトラブル担当・大久保貴世さんは、こう指摘する。

 「小学生は、友達など身近な関係でのチャットが多い。『きらいです(笑)』と書いてあっただけでも、電話や面と向かった会話ならば声色や表情が伴うが、メールでは受け手が『いやがらせ? 本心? 冗談?』と想像や心配が膨らんでしまう。中学生ならその背景を考えられるが、小学生にはまだ無理。よく考えず、きつい言葉にきつい言葉を返す傾向がある」

 別の危険も待っている。小学生が掲示板に自分の住所や情報を書き込んだところ、自宅周辺に「変なおじさん」が出没したというケースも。「メールの先が全世界につながっているということが分からず、目の前のパソコンとの距離感しかない」と大久保さん。

 では、どうしたらいいのか。

 大久保さんは、「親も掲示板への書き込みの中身を一度読んでみるべきだ。今回の事件で書き込まれていた内容が特殊な内容ではないことが分かるだろう」と提案する。

 「ショック療法ではないが、一度目にして、真剣になった方がいい。これまであまり対策が取られてこなかった部分だが、学校のPTAや、授業でやっても良いのではないか。小学生自身には、いやな内容の書き込みがあった場合は、『返事を書くまでに少し時間をおいて考えて書くように』『困ったら親や先生に相談して』とアドバイスを」と呼びかける。

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 精神科医の斎藤環さんは「掲示板に書き込めば、誰かがそれをコピーなどして、あっという間に世界中に広まり、どんなことが起きるか予想がつかない。だからこそ、親は悪口は絶対にネットに書き込んでいけないと、子どもに教える必要がある」と話す。

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 「この年齢の子どもに携帯やパソコンを与えるのは賛成できない」と言うのは、都内の公立小などで活動するスクールカウンセラーの以後崎はるみさん。「対人関係の距離感が取れない子が増えている今、メールの世界で言葉を往復させることよりも、生身の人間との関係性を築く機会と時間をつくってあげることを親や教師は最優先すべきでは」と提案する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040606/ftu_____kur_____000.shtml