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2004年06月03日(木) 01時18分

<三菱自動車>約17万台対象のリコール隠し26件明らかに毎日新聞

 三菱自動車(東京都港区)は2日、同社の「パジェロ」など主力車種約17万台について、リコール(回収・無償修理)を回避するため26件の部品の欠陥を隠していたことを明らかにした。00年に顧客からのクレーム情報を隠したとして警視庁に摘発される前から隠ぺいを続けていた。近く国土交通省にリコールを届け出る。

 国交省は道路運送車両法違反(届け出義務違反)容疑などで告発も検討する。大型車の部品だけでなく、乗用車でも欠陥隠しが発覚したことで同社の体質が改めて問われそうだ。

 国交省や関係者によると、欠陥はエンジン、燃料タンク、プロペラシャフト、バッテリーなど多岐にわたる。欠陥が原因で93年5月〜97年9月、燃料漏れやエンジン部品の焼き付き、パイプの腐食などが起きたが、販売会社に違法なヤミ改修を指示し欠陥を放置していた。死傷事故は起きていないが、改善が必要な案件はリコールに該当しない案件を含め計92件に上っていた。

 対象車両は四輪駆動車「パジェロ」や乗用車「デリカ」「ランサー」「ギャラン」など92年以降に製造された17車種。同社の乗用車のほぼすべての車種に及び、警察がパトカーとして使用している「シグマ」1040台も含まれる。費用は約25億円と予想される。

 岡崎洋一郎社長は会見で「深くおわび申し上げる。事実関係をきちんとさせて、責任者を厳重に処置したい」と語った。

 三菱自をめぐっては、00年7月に旧運輸省の立ち入り監査で顧客からのクレーム情報を隠していたことが発覚。隠ぺいは77年から継続し、警視庁が道路運送車両法違反容疑(虚偽報告など)で元副社長ら社員9人を01年2月に書類送検し、4人が罰金刑の略式命令を受けた。この際、同社は再発防止対策を打ち出していた。

 三菱ふそうトラック・バス(昨年1月、三菱自から分社)のハブ破損による大型車のタイヤ脱落事故を受けて、三菱自が社内の不具合情報などを洗い直し、大量の欠陥隠しが分かった。【武田良敬】

 ◇企業倫理委員会のトップに元東京地検特捜部長に要請

 三菱自動車は2日、新設する「企業倫理委員会」の委員長に、元東京地検特捜部長で預金保険機構理事長の松田昇氏(70)に就任を要請していることを明らかにした。【坂井隆之】

 ◇会見で社長はおわびに終始 根深い隠ぺい体質

 三菱ふそうトラック・バスの大型車だけでなく、三菱自動車の人気車種でも発覚したリコール隠し。三菱ふそうがこの日公表したリコール隠しの処分では、処分者の詳しい氏名を公表しないなど、「隠ぺい体質」は根深い。「名門企業のおごりだ」。消費者の不信は深まるばかりだ。

 「昔のことで埋もれてしまった。目先の対応が主で、さかのぼって誰もアクションを起こさなかった」。午後9時から国土交通省で開かれた会見で、大量の欠陥情報が隠され続けた理由について、岡崎洋一郎社長と社内調査チームの橋本光夫・開発本部統括部長は釈明に終始した。

 00年のリコール隠し事件で捜査を受けながら今回の欠陥がリコールにならなかったことに、岡崎社長は「残念としか言いようがない」と話し、橋本部長は「フタをしたというより誰ものぞかなかった。幸い問題にならなかったので」と頭を下げた。

 組織のウミは出尽くしたか。岡崎社長は「これで全ぼうと思う。自立再生の最後のチャンスだ。ここで全部出さなければ明日はない」と力を込めた。

 主婦連合会参与の和田正江さんは「一部の不心得者がやったのとは違うまさに会社ぐるみだったということだ。これだけ企業のコンプライアンス(法令順守)が言われている時代に、会社にとってどれだけマイナスになるかを知らないはずはないと思うのだが。ましてや自動車の欠陥は人の命にかかわる問題。どう受け止めているのかと思う。法令以前に人間性の問題。驚くというか、腹が立つ」と話す。評論家の小沢遼子さんも「名門企業のおごりを感じる。幹部や社員たちに『社名に傷をつけたくない』との思いが先に立ち、『社会の中で自分たちが生かされている』という意識に欠けるのではないか。三菱自動車は会社の体をなしていない。隠そうということにばかり神経が働き、再発防止も不十分なのだと感じる」と指摘した。【武田良敬、大槻英二】

 ◇早急に目に見える形で企業倫理の確立が必要

 三菱自動車で2日、またも欠陥問題が発覚した。同社から分社した三菱ふそうトラック・バスで前会長ら幹部の逮捕に発展したリコール隠しは大型トラックやバスだったが、今回は乗用車。しかも、00年の三菱自のリコール隠し事件の際にも公表せず、隠ぺいが続いたという意味で、三菱自の企業体質や商品の安全性に対する不信感がさらに強まるのは必至だ。

 2日発表したのは、93年5月以降に発生した17車種、26件の欠陥。海外分を含めると約17万台がリコール(回収・無償修理)されず、10年にわたって放置されていた。

 三菱自は5月の国内販売台数(軽自動車を除く)が、過去10年間で最悪の前年同月比56・3%減と、深刻な販売不振に陥っている。今回は乗用車の安全に直接かかわる問題だけに、顧客離れに拍車がかかるのは確実な情勢だ。

 同社は再建計画で04年度の国内販売台数を前年度比16%減と見込み、さらに約200億円の予算を販売の下ぶれ対策に用意しているが、岡崎洋一郎社長は「4〜5月の落ち込みは織り込み済みだが、6、7月はどうなるか、かなり厳しい。何とかして1台でも多く売りたい」と、率直に危機感を示した。

 「企業倫理の不在」が指摘され、体質改善を最重要課題に置く三菱自は、三菱商事から「企業の社会的責任」(CSR)の担当副会長を迎えたほか、外部主体の「企業倫理委員会」を新設するなど、信頼回復への取り組みが始まっている。

 00年のリコール隠し事件の際に洗い出せなかった98年以前の暗部ともいえる不透明な過去を、窮地にもかかわらず調査し公表したのは、再建に向けた新経営陣の「過去の清算」の意思が込められているのは事実だ。ただ、ブランドの劣化、品質や安全への信頼感の低下が進めば、再建の青写真がゆがみかねない。

 岡崎社長は「企業風土を改め、信頼される企業に生まれ変わりたい」と話す。だが、三菱自に与えられた時間は短く、早急に目に見える形で企業倫理の確立を示すことが必要となる。【坂井隆之】

 ◇ほぼ全車種がリコール対象

 リコール対象車種は次の通り。

 RVRスポーツギア(94)▽FTO(95)▽ギャラン(93、96、97)▽シグマ(92、95)▽シャリオ(93)▽ディアマンテ(95)▽デボネア(補用品搭載車)▽デリカ(95)▽パジェロ(97、98)▽パジェロミニ(95)▽ミニカ(94)▽ミニカトッポ(94)▽ミニキャブ(96、97)▽ミラージュ(92、93、96)▽リベロ(92、93、96)▽リベロカーゴ(92)▽ランサー(92、93、95、96)

※数字は年式(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040603-00000089-mai-soci