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2004年06月01日(火) 03時07分

環境省、米SF映画を異例の大宣伝…温暖化対策で便乗読売新聞

 環境省は、地球温暖化が進んだ地球の姿を描いたハリウッド映画「デイ・アフター・トゥモロー」について、試写会を小池環境相自ら主催するなど、異例のPR作戦に乗り出した。

 今月5日に封切られるこの映画は、地球温暖化によって暖かくなった地球が一転、凍結するという筋書き。環境省は31日、主演のデニス・クエイドさんや監督のローランド・エメリッヒさんらに要請し、小池環境相への表敬訪問を演出。小池さんも、映画の一場面を使った同省の「環境月間」用ポスターを手に、「映画は私の何千の言葉より、地球を守る大切さを訴える」と述べ、映画の広報担当を演じて見せた。

 温暖化というと、100年後に気温が最高5・8度上がり、海面が同88センチ上昇するという説明が多い。だが東京大学の山形俊男教授は「温暖化は単に冬が暖かくなるのではなく、気候が質的に変化する」と指摘する。

 実際、約1万2000年前に最後の氷期が終わり、地球が徐々に暖かくなっていたころ、地球は再び寒冷化に転じ、その状態が約1000年間続いたこともある。地球の凍結は、温暖化で北極や南極の氷が大量に解け、世界の海を2000年かけて巡っている海水の大循環が急激に弱まるからだという。

 映画封切り日は「環境の日」の5日に合わせた。同省は、映画観賞の前後でこの問題への意識がどう変化するか、アンケート調査も行う。

 同省がこうも躍起になるのは、地球温暖化対策について、同省が政府内でも孤立無援だからだ。

 二酸化炭素などの温室効果ガス排出量は増え続け、京都議定書で約束した1990年比6%減を達成するには、これから13・6%も削減しなくてはならない。それにもかかわらず、石油や石炭などに課税する「温暖化対策税」や、企業などの二酸化炭素排出を制限することには経済界からの反発が強く、経済産業省などはあからさまに反対している。

 映画そのままのことが起きる可能性はそう高くないが、環境省のなりふり構わぬ便乗策がどこまで奏功するか注目されている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040601-00000401-yom-soci