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2004年05月28日(金) 01時56分

5月28日付・読売社説(2)読売新聞

 [奥田経団連]「“闘い”は企業不祥事の根絶から」

 日本経団連の奥田碩(ひろし)会長が定時総会で再選され、二期目のスタートを切った。

 日本経団連は、財界総本山の経団連と財界労務部の日経連が二年前に統合して誕生した。初代会長に就いた奥田氏の最大の課題は、低下した経済界の発言力を取り戻すことだった。

 いの一番に取り組んだのが、企業献金への“関与”の再開だ。経団連が政党の政策を評価し、企業や業界団体が政治献金する際の参考にするよう求めた。

 自民、民主両党などは経団連との意見交換の機会を増やし、関係を強める姿勢を見せている。発言力回復の狙いは一定程度、達成しつつあるように見える。

 奥田会長は経済界の主張を国の政策に反映させることを目指し、「闘う経団連」を二期目のキャッチフレーズに掲げている。今後、政治への影響力を一層強めていくことが予想される。

 だが、最近の活動には、首をかしげたくなる面も見られる。独占禁止法の改正問題への対応だ。公取委が法改正の目玉とした課徴金の大幅引き上げに反対し、今国会への法案提出を断念させた。

 経団連の定款は活動目的として、「民間経済の活力を高める」ことをうたっている。独禁法改正の狙いは談合など競争を阻害する不正行為を抑え込むことで、経団連の目的と合致する。

 修正要求ならともかく、反対一点張りは利害むき出しの動きだ、と批判する声にも理がないとはいえない。

 経団連は経済界を代表して、経済活性化をはじめとした政策を提言し、実現させることを目指している。その発言は、国民からも幅広い支持が得られるものでなければならない。

 総会では「国の基本問題検討委員会」の新設を決め、憲法や安全保障を巡る提言をまとめる方針を打ち出した。

 これまで、中国など海外での企業活動への影響を恐れ、政治、外交問題への取り組みを避けてきたが、そうした姿勢を改めた。国民的な課題となっている憲法改正などに対し、経済界としての見解を表明することは当然の責務だろう。

 三菱自動車のリコール隠し、武富士の盗聴事件と企業の不祥事が絶えない。企業に順法経営を徹底させるとともに、不祥事を起こした会員企業への重い処分をためらうべきではない。これまでは活動自粛などにとどめ、会員資格停止や除名といった重い処分を科した例はない。

 外部への発言力強化を目指すならば、会員企業を厳しく律していくことも必要だ。二期目を迎えた奥田経団連にとって不祥事の根絶が大きな課題になる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040527ig91.htm