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2004年05月27日(木) 06時05分

三菱自、クラッチ欠陥で96年に事故増予測朝日新聞

 死亡事故の原因にもなった三菱自動車製大型車のクラッチ系統の欠陥問題で、この欠陥でのリコール(無償回収・修理)回避を決めた96年5月の対策会議に「放置すれば破損事故は04〜05年には70〜80件に達する」との報告があったことが関係者の話でわかった。破損事故は実際、03年には60件を超えた。死亡事故を業務上過失致死容疑で調べている神奈川・山口両県警は会議の議事録を入手、三菱側が欠陥の重大性を認識しながら十分な対策を取らなかったことの裏付けと見て調べている。同欠陥について同社側は26日、国交省に約16万8000台のリコールを届け出た。

 欠陥は、強度不足からクラッチを格納する「クラッチハウジング」が破損し、この結果ブレーキなどの車両本体が破損する可能性がある。

 関係者によると同社は96年5月、リコールを担当する品質部門の幹部らが集まってこの欠陥に関する対策会議を開いた。この時までに三菱自には37件に上る破損の事案や破損が原因で人身事故や車両火災が起きていることも報告されていた。

 会議ではこうした事例が報告されるとともに、欠陥を放置した場合には、8、9年の間にさらに40件前後の事故の続発を予測する報告までなされていたという。

 しかし、会議は欠陥を公表するリコールを避け、定期点検の際などに勝手に修理する違法な「ヤミ改修」の実施を決めた。欠陥が公表されなかったために改修は進まず、クラッチハウジングの破損は予測通り03年9月までに67件に上り、02年10月、山口県内で発生した死亡事故を含め、欠陥を原因とする人身・物損事故も21件に達した。

 一方、リコール届け出後の26日の記者会見で、三菱自の商用車部門を分社化した三菱ふそうトラック・バスは、三菱自が、欠陥車を新車と交換したり、欠陥を隠蔽(いんぺい)するために国交省に対して虚偽の報告をしていたりしたことなどを明らかにした。

 説明によると、95年6月、都内の産廃業者のダンプカーでクラッチハウジングが壊れ、脱落したプロペラシャフトが後続車にぶつかる事故が起きた。このため、三菱自は業者の保有する10台の大型車のうち7台を新車に交換した。三菱ふそうは欠陥を隠すために交換に応じた可能性があるとみて社内調査している。

 欠陥隠しは延々と続いた。02年10月には横浜市の首都高速下り線で大型トレーラーから脱落したプロペラシャフトが後続の2台と対向車1台にぶつかり、フロントガラスなどが壊れる事故が発生。報告を求めた国交省に対し、三菱自は同年12月、「整備不良が関係する極めてまれな事故で、多発性はない」との報告書を提出したという。

   ◇  ◇

 この日届け出があったリコールの対象は、83年6月〜99年4月に製造された大型車で、現在も7万5200台が使用されているという。アルミ製で、強度が不足しているクラッチハウジングを鉄製に交換するなどの対策を実施する。数十億円の費用を見込んでおり、すべての対策が済むまでには数年かかる。三菱ふそうは同日、この欠陥隠しに関与した当時の幹部らに対する社内処分を来月2日に公表することも明らかにした。(05/27 06:05)

http://www.asahi.com/national/update/0527/005.html