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2004年05月21日(金) 03時10分

三菱自クラッチ欠陥、宇佐美容疑者が隠ぺい了承読売新聞

 三菱自動車(昨年1月に商用車部門が三菱ふそうトラック・バスに分社)製の大型車で明らかになった新たなリコール隠しで、当時、三菱自動車の副社長だった宇佐美隆容疑者(63)(三菱ふそう前会長、道路運送車両法違反容疑で逮捕)が、山口県内で死亡事故を引き起こしたクラッチ部品の欠陥についての報告を受けながら放置し、リコール隠しに関与していたことが、20日わかった。

 事故の9か月前の2002年1月には、車軸周辺部品ハブの欠陥で横浜市で母子死傷事故が発生、社内ではクラッチ部品の欠陥について隠ぺいを続けることに疑問の声が上がっていた。

 関係者によると、クラッチ部品を巡る最初の不具合は1992年に発生した。しかし、この欠陥については、大型車部門を担当する一部の役員の間で、「隠ぺい」が申し送り事項になっていた。2000年6月に、大型車部門を統括する副社長に就任した宇佐美容疑者も、欠陥についての報告を受け、国土交通省にリコール届け出を行わないことを了承していたという。

 しかし、2002年1月の横浜市の母子死傷事故で、車軸周辺部品ハブに構造欠陥があった疑いが浮上。社内では、クラッチ部品の欠陥についても隠ぺいをやめ、リコール届け出を行うかどうか役員らの間でひそかに検討が進められた。

 しかし、「今さら公表することはできない」とする意見が多数を占め、宇佐美容疑者らは、クラッチ部品欠陥の隠ぺいを続けることを了承したという。

 最初の不具合発生から4年後の96年にはトラブル件数が約30件に達し、同年5月、当時の品質保証部門担当の幹部らが出席する「リコール対策会議」で対応が協議された。

 問題のクラッチ部品は、強度不足で金属疲労が進むと破断し、後輪に動力を伝えるプロペラシャフトが脱落。さらにブレーキホースを破損し、「人身事故を引き起こす可能性がある」ことが会議で報告された。

 しかし、会議では「公表すればブランドイメージを損なう」との意見が出たため、2002年まで6年間にわたって、クラッチ部品の修理を販売会社などを通じてひそかに続けていた。

          ◇

 三菱ふそうは20日、新たに4件の部品の欠陥を隠してリコールを免れていたことを認め、国交省にリコールを届け出ることを表明した。ヴィルフリート・ポート社長が記者会見して明らかにしたもので、「過去の重大な誤りについておわび申し上げる」と謝罪し、リコール隠しに関与した役員らを懲戒処分にする方針を明らかにした。

 また、同社は、クラッチ部品の欠陥では、昨年9月までに計70件の不具合情報が寄せられ、このうち、山口県の死亡事故とは別に、名古屋市などで2件の人身事故が起きていたことも公表した。

 神奈川・山口両県警は合同で捜査を進める方針で、宇佐美容疑者ら当時の同社経営陣から、具体的な指示がなかったか裏付けを進める。

 ◆不具合情報=自動車メーカーや監督官庁の国土交通省に対し、ユーザーから寄せられる車両のトラブルや苦情などのこと。道路運送車両法は、メーカーに対し、リコールに直結する保安部品などのトラブルは、国交省への報告を義務付けている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040521-00000001-yom-soci