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2004年05月17日(月) 19時03分

[ニュースプリズム]水戸地・家裁の「見学ツアー」 裁判官らが直接説明 /茨城毎日新聞

 ◇裁判員導入へ「親しみやすく」
 司法制度改革の推進を背景に、「開かれた裁判所」を目指したさまざまな取り組みが始まっている。水戸地、家裁では、憲法週間(今月1〜7日)に合わせて、裁判官と直接対話できる「裁判所見学ツアー」を初めて実施した。国民が刑事裁判に参加する裁判員制度は、今月中にも法案が成立し、5年後の09年には導入される見通し。「遠い存在」ではなくなる裁判所。6日と7日に行われた「見学ツアー」に同行した。【長野宏美】
 ■閉廷後に質疑応答
 7日午後3時15分、水戸地裁302号法廷。約20人の参加者は、県内で初めて摘発された「おれおれ詐欺」事件の初公判を傍聴した。詐欺罪に問われた千葉県内に住む22歳の無職男性2人が入廷。腰縄と手錠を外され、本人に間違いないかを確認する人定質問を受ける。検察官が「今年1月、数人と共謀して東京都江東区の会社員(60)方に長男(29)を装って電話し、250万円をだまし取った」という主旨の起訴状を朗読。黙秘権が告知された後、2被告は公訴事実について「分け前はもらっていない」と一部否認した。続いて検察官が冒頭陳述を読み上げる。
 閉廷後、江口和伸裁判官は「予断を排するため、初公判前に裁判官の手元に届くのは起訴状のみ。冒頭陳述などを聞いて初めて事件の詳細を知る」と説明。約1時間にわたり、検事や弁護士も交えた質疑応答が行われた。参加者からは「逮捕から裁判終了までの期間は」「被害者の救済が足りないのでは」など質問が相次ぎ、江口和伸裁判官は「裁判員制度が導入されれば、市民も裁判に参加する。今後も興味を持って」と呼びかけた。
 ■少し身近に
 和解協議などに使われるラウンドテーブル法廷や、家裁の調停室などの見学もあった。水戸市の主婦、村田のり子さん(59)は「近寄りがたい場所だったが、仕組みがよく分かり、身近に感じた」と満足そう。
 これまでも法廷見学会などは行われていたが、裁判官と直接対話できる企画は初めて。同地裁は「法律家に直接質問する機会を作り、より親しみやすい裁判所をアピールするのが狙い」と説明する。また、裁判所の運営に国民の意見を広く反映させようと、昨年設置された「水戸地裁委員会」の議事概要もホームページで公開している。
 こうした取り組みの背景には、01年11月に成立した「司法制度改革推進法」がある。「市民のニーズに応える法的サービスの充実と、司法現場への市民の積極的関与」などを目指して定められたものだ。これを受けて今年4月、法科大学院(ロースクール)が開校。改革の柱でもある裁判員制度は衆院を通過し、今国会での成立が確実になった。周知期間をはさみ、09年にはスタートさせたいとしている。
 裁判員制度は原則として裁判官3人、裁判員6人で重大な刑事事件などの1審を担当する。日弁連の試算では74人に1人が生涯に1度は裁判員を経験するという。
 今後、司法が身近な存在になるだけに、市民の方も積極的にかかわっていく姿勢が求められる。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040517-00000001-mai-l08