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2004年05月15日(土) 00時00分

白い団体の行方 パナウェーブ研究所(下)パナウェーブ研究所。敷地内には廃車になったとみられるワゴン車が並んでいる=03年11月23日、福井市五太子町で、ヘリから撮影朝日新聞・

活動への警戒続く


 福井市五太子町の拠点施設に定住する構えの白ずくめ団体「パナウェーブ研究所」は、上部組織の「千乃正法会」の千乃裕子会長(70)を「スカラー波攻撃」から守ることを目的とする会長の親衛隊的な団体だ。

●共同生活

 現在、約40人が千乃会長を中心に共同生活をしているといわれ、「科学班」「探索班」「伝達班」「樹木班」「アースチェック係」「犬係」などの役割を割り振られているという。犬や猫、豚などの「ペット」とともに暮らしているのが団体の特徴でもあり、千乃正法会の機関誌「LR(エルアール)」には、メンバーだけでなく、ペットにも位階を与えている記述がある。

 スカラー波攻撃からの防御のため、施設や周辺の立ち木、川の土手付近などは今も白い布で覆われている。県は昨年8月末、川の護岸にまでかかっていた白布を撤去させた。約2週間後、未明に白布を点検していた男性メンバー(当時50)が川に転落し、頭を強く打つなどして死亡している。団体の広報担当者は「スカラー波を感じる人もいる。だから何らかの処置をしなくてはならない」と白い布を撤去できないとする。

 施設周辺の林道は団体の車両が巡回して警戒にあたっている。いずれも電磁波攻撃の防御、調査のためとの説明だ。

 昨年8月、千乃会長が居住する廃車したワゴン車に滞留するスカラー波を取り除くとされる「アースチェック」と呼ばれる作業をしていたメンバーの大学助教授(当時40)が死亡した。当時、気合を入れるとして助教授の背中などを棒状のものでたたいていたメンバー5人が同12月、県警に逮捕され、暴力行為で罰金の略式命令を受けた。

 県警は当初、死因について熱中症と外傷性ショックの複合要因と発表したが、暴力行為と死因との因果関係はわからないまま捜査は終結した。団体側は助教授の死亡について、「過密スケジュールで無理をした」と主張。さらに「今はたたく強さを加減し、回数も減らしている」とアースチェックを続けていることを明かした。

●静観

 メンバー5人の逮捕、捜索時には、団体に対して強硬な姿勢を見せた警察は再び静観の構えになっている。県警の再三の強制捜査によってメンバーや寄付が減っているとの情報もある。

 県警公安課は「住民不安を解消し、安全を守るため、引き続き実態把握に努める。もし違法行為があれば、厳重に取り締まる」と話す。

 団体側の弁護士は、パナウェーブ研究所について「スカラー波攻撃から逃げ回っているだけの穏健で非攻撃的な団体」と説明するが、捜査関係者は「存在を絶対視している千乃会長の考え次第で、何らかの行動を起こす可能性もある」と警戒する。

 村尾敬治・福井市総務部長は「市は週に1度、パトロールと近くの川の水質検査をしている。今のところ異常はなく、大きなトラブルは報告されてない。住民の安全、安心を第一に考え、団体の活動を監視していく」と話す。前田喜代志・五太子町自治会長(66)は「助教授死亡事件が起きた時はいろいろ考えた。(研究所の)長谷川(邦男)代表には会う度に『考えて行動してください』と伝えている。しかし、今はとにかく静かに見守っていきたい」と言う。

 団体は「共産ゲリラからのスカラー波攻撃の存在を明確にするとともに、失われた日本の価値を取り戻したい。活動をご理解いただくしかない」としている。

(上沢博之、松尾一郎、佐藤美恵が担当しました)



(5/15)

http://mytown.asahi.com/fukui/news01.asp?kiji=3757