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2004年05月07日(金) 08時04分

<タイヤ脱落事故>変わらぬ悲しみ 遺族涙の会見毎日新聞

 「一生かかっても(三菱を)許さない」。娘を奪われた母親は、そう泣き崩れた。6日、逮捕された三菱ふそうトラック・バス前会長の宇佐美隆容疑者(63)らは「エリートの顔」を持つ一方で、安全にかかわる虚偽報告を重ねてきた。村川洋元市場品質部長(58)は、00年のリコール隠し事件に続いて捜査の対象となった。品質と信用を置き去りにした三菱自動車の首脳陣ら。組織ぐるみの犯罪を解明する捜査は緒についたばかりだ。【斎藤良太、木村光則、広瀬登】

 「私の気持ちは何ら変わらない。あの子はもう戻ってこない」

 脱落したタイヤの直撃を受けて死亡した神奈川県大和市の主婦、岡本紫穂(しほ)さん(当時29歳)の母増田陽子さん(55)は6日夕、横浜市内の弁護士事務所で記者会見し、当時の三菱自動車の幹部が逮捕されても変わらない悲しみと怒りを語った。

 「あの人たちはただ逮捕されただけで生きている。あの子はもういないんですよ。逮捕は、ただ一つ前に進んだだけのこと」。陽子さんは沈んだ表情で、終始うつむいたままだった。

 虚偽の報告を繰り返した三菱自動車に対し「一生かかっても許さない」と怒りをあらわにし、「ただ車を売りたいがために、いいかげんなものをつくっている、殺人の車をつくっているとしか思えない」と声を震わせた。

 事故から逮捕までの2年半を振り返り「長かった。寝ても起きても、いつもあの子の顔が浮かんできて、寂しさとつらさがずっと続いていた」と語り、込み上げる涙をハンカチで何度もぬぐった。

 また、岡本さんの夫明雄さんも弁護士を通じ「草葉の陰で眠る亡妻が、このような悲惨な事故で被害を受けるのは私たちだけにしてほしいとの思いが通じたのではないかと思っています。真相を隠ぺいしようとしていた三菱自動車関係者を一生許すことは出来ません。妻の無念さを思うと、私たちの悲しみは永遠に癒えることはありません。このような悲しい痛ましい事故を再発させないで下さい。もう私たちだけでたくさんです」とのコメントを発表した。【川久保美紀、渡辺創】

 ◇三菱自、ふそう両会長、謝罪会見

 三菱自動車の岡崎洋一郎会長と、三菱ふそうトラック・バスの堀道夫会長は6日夕、東京都内で会見。「申し訳ございませんでした」と謝罪し深々と頭を下げ、再発防止と信頼回復に取り組む姿勢を強調した。しかし一方で、ハブの破損原因を会社として認識した時期などについては、捜査中を理由に明言を避けた。

 また横浜の死亡事故が起きた02年1月以前のハブ問題の原因解明の取り組みについて、堀会長は「ハブの問題は92年が最初だが、社内調査の整備不良という結論が社内に大きな影響を及ぼし、本当の原因追究が遅れた」と述べた。【斎藤良太、木村光則】

 ◇地裁に和解勧告18日申し入れへ

 増田さんが三菱自動車などに損害賠償を求めている訴訟について、同社側が和解勧告を裁判所に申し入れることを、増田さんの代理人が明らかにした。代理人によると、同社側は18日に申し入れるという。

 ■ことば(リコール隠し事件) 三菱自動車が20年以上にわたり、販売会社を通じて寄せられたリコールに結びつくクレーム情報の大半を秘匿し、国土交通省(当時運輸省)に報告していなかったことが00年7月、内部告発で発覚。品質保証を担当する当時の副社長ら4人と法人としての三菱自が道路運送車両法違反(虚偽報告)の罪で、個人は罰金各20万円、法人は同計40万円の略式命令を受けた。この事件をきっかけに道路運送車両法が改正された(昨年1月施行)。虚偽報告の罰則は旧法の個人・法人とも罰金20万円以下から、個人が懲役1年以下または罰金300万円以下、法人は罰金2億円以下と大幅に強化された。今回は旧法が適用される。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040507-00000133-mai-soci