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2004年05月04日(火) 00時00分

手軽さの陰に〜検証・ネット詐欺(中)山形新聞

 インターネットオークションを利用して落札者から現金をだまし取ったとして、酒田署が去年12月に詐欺容疑で逮捕した酒田市内の男性の刑事公判が、地裁酒田支部で行われている。ことし2月に始まった裁判の中で、同様の手口による余罪のほか、全国各地の落札者と多数のトラブルを起こしたこと、犯行に及んだ動機などが次々と明らかになった。検察側は4月21日、この男性に対し懲役2年を求刑した。

 男性は去年11月18日、実際に用意していないノートパソコンを「新品、未開封」などと偽って出品。これを落札した兵庫県高砂市の男性会社役員に「入金確認後、即発送いたします」などとうその電子メールを送信し、25日に自分名義の銀行口座に現金約10万円を振り込ませてだまし取ったとして、酒田署が12月に逮捕した。

 ことし2月に始まった刑事公判では、男性が同様の犯行を重ねていたことが判明した。男性は去年11月中旬、数回にわたり、用意していないノートパソコンを出品。これを落札した男性8人に5—10数万円を自分名義の銀行口座に入金させ、計約75万円をだまし取ったことを認めた。

 検察側は、男性が犯行の前にもネットオークションでトラブルを多数起こしていたと指摘。男性が去年5月からDVDレコーダーなどを出品していたが、7月ごろから利益が上がらず、商品を納入できなくなったことを明らかにした。入金後の未発送分は7月8件、8月56件、9月29件。落札者が振り込んだ金額はそれぞれ54万円、179万円、214万円。3カ月間で計93件、447万円の被害をもたらした。

 10月ごろからは「だまされた」などと苦情を言う落札者が急増。酒田署にも数十件の相談が寄せられ、男性は署員から事情を聴かれるようになった。検察側は動機について「この状況を抜け出したいとの思いから、強く苦情を言う落札者に返金するため、今回の犯行に及んだ」と述べた。

 論告では「(商売上のトラブルで)多数の被害者を出し、警察に事情を聴かれているにもかかわらず、犯行を敢行した。計画的で悪質」と指摘した。判決の言い渡しは5月12日。

 約2カ月の公判中、法廷で次々と明らかになった事実。ゲーム感覚で欲しい物が手軽に買えるという魅力の裏には、見知らぬ人から購入するという大きな“リスク”が潜んでいることを忘れてはならない。
(酒田支社・木村友香理)

http://www.yamagata-np.co.jp/kiji/20040504/0000001723.html