悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2004年04月29日(木) 00時00分

マイホーム踏みきる前に ローン計画FPが診断 東京新聞

 住宅ローンの返済に苦しむ人が増え続ける中で、マイホームを持つ前に資金計画や将来の生活設計についてファイナンシャルプランナー(FP)の診断を受けることが注目されている。家を持ちたい人が大丈夫と考える計画が、FPに「見直しが必要」と診断されることが意外に多いからだ。住宅金融公庫名古屋支店が実施したFP診断の実例から、マイホームをめぐる夢と現実を考えてみた。 (白井 康彦)

◆実例1

 会社員Aさんは三十七歳で、妻は三十四歳、子どもは二歳と零歳。年収(手取り)六百万円で、貯蓄は千百万円。毎月の支出は、基本生活費が十四万円、保険料が四万円、マイカー関連費用が三万円など。七年ごとに二百三十万円で車を買い替えるつもりだ。子ども二人は私大文化系学部に進学すると想定した。

 自己資金を一千万円用意して三千万円の家を買い、二千万を二十五年返済で借りることを希望している。毎月の返済額は九万四千八百四十二円となる。

 この計画では危ない、というのがFPの見方。「毎年の収支は赤字続きで家計はかなり厳しい。子どもが大きくなったら奥さんがパートに出ることを勧める」と指摘。自己資金を増やして住宅ローンの借入額を千六百万円に減らす見直し策を示した。そうすれば、定年退職後にもゆとりができるという。

 判断のポイントは、収入がそれほど多くはないのに、子どもの教育費やマイカーなどにお金をかけ、住宅ローンも比較的多いことだろう。

◆実例2

 会社員Bさんは年齢は夫婦とも三十一歳。子どもは二歳が一人。夫婦の年収は三百八十万円で、貯蓄は五百六十万円。毎月の支出は、基本生活費が十二万円、保険料が二万七千円、マイカー費が七万円など。五年ごとに三百万円の車を買う予定だ。子どもは私大の理系学部に進学とした。

 住宅の価格は三千六百万円で、自己資金を六百万円用意し、住宅ローンは三十五年返済で三千万円借りる。毎月の返済額は十一万五千四百五十五円となる。

 この計画は見直すべきだ、とFPは厳しく警告する。マイホームを得た後、すぐに年間収支が赤字になり、五年後からは住宅ローン以外でも借金が増えていき、十五年後には住宅ローン以外の借金残高が六百万円を超すと予想している。

 FPは、将来の収入や支出見込みを変えないで健全な家計にするためには、住宅ローンの借入額を千七百五十万円に抑えなければいけないと説明する。自己資金を千二百万円以上増やす必要があるわけで、マイホーム実現の道は険しい。

 ポイントは、車に大きなお金を使い、教育費も多いなど、収入やローン返済額からみて無理な暮らしをしようとしていることだ。それを見直さないと、マイホームは無理な家計といえそうだ。

◆実例3

 FPから大丈夫だと認められたのが、三十一歳の自営業Cさん。妻は二十九歳、子どもは五歳で、年収は夫婦で四百万円と多くないが、貯蓄が一千万円ある。毎月の支出は、基本生活費が十万円、保険料が一万六千円、マイカー費が一万円など。車は八年ごとに百万円のものを買い替えるという。子どもは高校卒業後に就職と想定。

 住宅の価格は二千二百万円で、自己資金を五百五十万円用意し、住宅ローンは三十五年返済で千六百五十万円借りる。毎月の返済額は六万三千五百円になる。

 FPは「毎年、おおむね収入が支出を上回る」と判定。住宅ローンを抱えながら貯蓄残高が順調に増えていくので、住宅ローンの繰り上げ返済をアドバイスする。返済開始十年後に三百万円、その五年後に四百万円の繰り上げ返済をすると、その三年後にはローン残高が三百万円になるので、その時点で完済が可能になるという。ローンを完済しても、六十歳の時に貯蓄が千六百万円以上あり、老後も安泰だ。

 このケースは、つつましい生活が特徴。子どもの教育費などに、もう少し出費を見込んでもいいのだろうけれど…。

■メモ 

 住宅金融公庫名古屋支店は、近い将来に家を持ちたい人を会員とする「すまい・るクラブ」を運営し、家づくりに関する情報提供をしている。会員の特典の一つがFP診断で、昨年後半に実施した21世帯の診断では、半数強の11世帯について「住宅資金計画の見直しが必要」という厳しい結果が出た。

 21世帯の状況は平均すると▽世帯主(夫)の年齢35.8歳、妻の年齢33.7歳▽夫年収550万円、妻年収51万円▽住宅希望価格3619万円▽住宅ローン借入額2312万円▽自己資金907万円▽両親の援助額376万円。

 診断では、住宅ローンは金利固定型で年3%の金利で借りる、食費や光熱費などの基本的な生活費や収入は毎年0.5%ずつ増える、などと仮定している。

 こうした住宅資金計画に関する相談は、各地の住宅金融公庫の支店で受けることができる。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会=フリーダイヤル0120(211)748に問い合わせるなどしてFPを紹介してもらい、FPの有料診断を受ける道もある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040429/ftu_____kur_____001.shtml