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2004年04月28日(水) 09時30分

背後の力 追跡・丹波町鳥インフルエンザ京都新聞

卵普及キャンペーンで、養鶏業者とともにチラシを配る飼料メーカーの社員(京都市右京区・京都生協の店舗)    鳥インフルエンザの終息宣言から4日後の今月17日、京都市右京区の京都生協の店舗。卵普及キャンペーンの売り場に、場違いにも見える大手飼料メーカー社員の姿があった。
 「鶏肉や卵が売れなければ、われわれにとっても死活問題」。中部飼料(本社・愛知県)の田保武俊営業1課長は真剣な顔で話し、開店から7時間、養鶏業者と一緒に安全な卵をPRするチラシを買い物客に配り続けた。生協府内全店で繰り広げられたキャンペーンに、中部飼料は社員4人を派遣していた。
 鶏が1日に食べるエサは100グラムから120グラム。卵原価のうちエサ代は3割から5割を占める。「風が吹けば桶屋が『損する』」と業界関係者。養鶏業者が傾けば飼料メーカーの経営に直結する。
 鳥インフルエンザ感染で、浅田農産の船井農場のほか、兵庫、岡山の5農場で卵の出荷が止まった。1日のエサ代計500万円。飼育する鶏177万羽の処分を決めたが、引き取り先が見つからず、飼料代は雪だるま式に増え続けた。
 浅田農産と取引する飼料メーカーは大手3社。いずれもエサ代回収の不安を抱き「取引停止になれば痛手は大きい」。中部飼料の五藤義隆岡山工場長は顔を曇らせた。
 飼料各社は、日ごろから鶏舎の衛生管理やブランド卵の開発、経営指導などで、養鶏業者への関与を深めている。浅田農産と取引がある昭和産業(本社・東京都)の玉井章大阪支店飼料畜産課長は「サルモネラ菌対策など衛生管理を中心に協力している」。中部飼料の五藤工場長も「スパーなど取引先をあっせんすることもある」。
 養鶏業者の1人は「飼料会社に鶏舎管理をチェックしもらっている。点数が高いと安心する」。切っても切れない関係ができあがっている。
 背景に、日本の養鶏業の「寡占化」がある。1960年代に約350万戸あった養鶏農家は現在約4700戸に。「米国の大型鶏舎システム導入が呼び水になり、卵の大量生産が始まった。その背後に、飼料各社が資金を貸し付けるなど援助してきた歴史もある」と業界関係者は明かす。
 西日本で指折りの大手だった浅田農産の屋台骨を瞬時に砕いた鳥インフルエンザ感染に、飼料各社は震え上がった。「大きなリスクを背負ったということです」と昭和産業の玉井飼料畜産課長。卵の大量生産時代に売り上げを順調に伸ばしてきた飼料各社は、新たな課題を抱え込んだ。(京都新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040428-00000003-kyt-l26