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2004年04月24日(土) 03時07分

三菱ふそう、リコールから1か月…危険放置が次々発覚読売新聞

 三菱ふそうトラック・バス(昨年1月、三菱自動車から分社)が、車軸周辺部品「前輪ハブ」のリコール(回収、無償修理)を国土交通省へ届け出てから24日で1か月。長年にわたって安全対策をおろそかにしていた実態は、その後も次々と明るみに出た。

 横浜市で起きたタイヤ脱輪による母子死傷事故で、捜査当局は業務上過失致死傷容疑で近く当時の最高幹部らの聴取に乗り出すとみられ、今後、責任追及も本格化する見通しだ。同社の親会社である独自動車大手ダイムラー・クライスラーは、かつての本体だった三菱自動車への財政支援中止を表明。名門「スリー・ダイヤ」のブランドは揺れ続けている。

 ◆自縄自縛◆

 初めての事故は1992年6月、東京都内の高速道で起きた。帽子の形をした金属製のハブは、つば部分が根元から一気にちぎれていた。車軸とタイヤをつなぐハブは、数万点に及ぶ車両部品の中で、廃車まで交換しない「永久部品」。その見慣れない破壊の姿に三菱の技術陣はがく然とした。「輪切り事故」。社内ではひそかにそう名付けられ、品質管理部門で引き継がれていたという。

 その後も「ハブ破断」は止まらなかった。94年、開発本部長ら幹部数人が対策会議を開催した。初の本格検証だったが、結論はユーザーの整備不良に落ち着いた。三菱側はその後、この説に自縄自縛となる。

 ところが、99年6月、広島県内で、バス車両では初のハブ破断事故が起きた。客9人が乗っていた高速バスが走行中、タイヤがはじけ飛んだ。公共交通機関のバスはトラックより点検整備の基準が厳しく、定員も決まっているため過積載も皆無に近い。

 三菱はバス会社に「原因不明」とする一方、運輸省(当時)には「整備不良」と報告。横浜の事故は広島の事故の約2年半後。その時点でリコールされていれば、主婦岡本紫穂さん(当時29歳)の死亡事故は防げた可能性が高い。

 ◆手抜き◆

 三菱ふそう大型車の前輪ハブは83年以降に開発されたA—F型までの7タイプ。捜査当局が三菱の捜索で押収した文書には、ほとんどの型のハブが開発過程で強度を確かめる研究室内での耐久試験や、車に試作品を付けて走らせる実車実験を行っていなかったことが記載されていた。

 設計変更の際には、でこぼこ道など悪路を走らせて耐久性を確認するのが常識とされ、他社の幹部は「実験を怠っていたとは信じられない」と絶句する。

 ハブ破損が集中したのはD型。全57件のうち30件を占め、横浜の事故もこの型だ。三菱側は形状を見直さずに材質変更で強度を上げた「ディーダッシュ型」を導入したが、これにも8件の事故が起きた。D型について、同社は先月のリコール時の会見で「耐久試験は行っていた」としたが、試験実施は生産開始の後だったことが判明。当時、他社ではモデルチェンジが相次いでおり、国交省関係者は「焦りから生産を前倒しにしたのでは」と分析する。

 ◆隠ぺい?◆

 三菱は実験でハブの強度不足を示すデータを得ながら、それを国交省に報告してこなかった。横浜の事故後に実施したハブの自主回収では、社内調査班が約480個をサンプル調査し、約3割から肉眼で見えない微細な亀裂(ヘアクラック)を確認。それは破断の兆候を示すものでハブの強度不足を裏付けていた。

 だが当時の常務は、強度不足以外の結論を出すよう文書で指示。その結果、「危険情報」は約2年後のリコールまで外部に発信されることはなかった。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040424-00000301-yom-soci