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2004年04月24日(土) 02時14分

4月24日付・読売社説(2)読売新聞

 [三菱自動車]「裏目に出たダイムラーとの提携」

 それにしても、非情な決断である。独自動車大手のダイムラー・クライスラーが、経営再建中の三菱自動車の増資計画に参加しないことを決めた。

 ダイムラーが保有する三菱自動車の37%の株式についても、今後の売却に含みを残している。

 三菱自動車にとっては、寝耳に水の知らせだ。7500億円もの増資を前提とした再建計画は白紙に戻り、先行きに不透明感が漂う事態となっている。

 ダイムラーの決断の背景として、三菱自動車の赤字拡大がダイムラー本体の足を引っ張りかねないうえ、三菱製トラックによるタイヤ脱落事故などに嫌気がさしたため、との指摘がある。

 だが、ダイムラー側も、業績悪化の責任を免れない。三菱自動車の経営が揺らいだのは、ダイムラーから派遣された首脳陣が進めた北米事業の赤字が、最大の原因だからだ。

 三菱自動車は今後、三菱重工業など三菱グループ主導で再建に取り組むが、前途は容易でない。

 バブル崩壊以降、経営危機に陥った日本企業の中で、外資の傘下に入り再建に取り組む動きが目立つ。立ち直る企業も少なくないが、三菱自動車のケースは、裏目に出た。

 三菱自動車がダイムラーと資本提携したのは四年前だ。その一年前には日産自動車が、仏・ルノーと資本提携した。

 日産は、ルノーから派遣されたカルロス・ゴーン氏の指導で大胆なリストラに取り組み、新車開発でヒットを飛ばしたことなどで短期間に業績が回復した。日本人社員のやる気をうまく引き出したのが、成功のカギとされる。

 だが三菱自動車では、ダイムラーからの首脳陣と日本人幹部との意思疎通が円滑ではなかったようだ。ダイムラーは米ビッグスリーの一つであるクライスラー部門でも赤字を続けている。海外事業の経営ノウハウに欠ける、と言われても仕方ないだろう。

 一方で、三菱自動車の体質を問題視する声もある。ダイムラーとの資本提携直後に「リコール隠し」が発覚し、消費者から強い批判を浴びた。

 それ以前にも総会屋への利益供与事件を起こした。いざとなったら三菱グループが支えてくれるという、甘えの構造が残っている、との見方が絶えない。

 三菱自動車は、連結売り上げが3兆8000億円を超え、従業員数四万五千人の大企業だ。その動向は景気にも影響を与えかねない。

 経営陣は、背水の陣を敷いて再建に取り組まねばなるまい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040423ig91.htm