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2004年04月24日(土) 00時00分

三菱自動車 再建には徹底改革を 東京新聞

 筆頭株主の独自動車大手ダイムラークライスラーは三菱自動車の支援撤退を決めた。三菱自は経営陣の総退陣など徹底的に改革し、せめて法律を守れる企業に脱皮しなければ再建はあり得ない。

 前日までは三菱自動車側の希望的観測による情報だけだったせいか、国内での報道はダイムラークライスラー社がさらに四千五百億円を出資して支援を継続するという内容だった。そこへ二十三日朝突然の支援打ち切り声明が出され、政府筋はじめ国内には衝撃が走った。

 伏線はさる七日にベルリン国際会議場で開いたダ社の株主総会にある。本紙ベルリン特派員の伝えるところでは、九千二百人もの株主が集まり「三菱への支援を打ち切れ」という怒号が会場に渦巻き、シュレンプ社長の引責辞任を求めた。

 三菱自の不振に加え、合併している旧クライスラー社の米国での業績も悪く、ダ社の株価が半分以下に下落している。このうえ巨額な追加出資をすれば、ダイムラーグループ全体に致命的な損害が出る恐れがあるというわけだ。

 三菱自は日本車ファンの多い米国でローンの焦げ付きを起こしユーザーの不信を拡大した。日本では七年前に総会屋への利益供与事件、四年前にリコール隠し、そして今回の大型車のタイヤ脱落事故にかかわるリコール隠しと、法律違反を繰り返している。

 ドイツの株主は、法律さえ守れない企業に対し、大きな犠牲を払ってなぜ支援するのか、という疑問を持ったに違いない。

 三菱重工業などグループ首脳は早速、三菱自支援を続けるという緊急声明を出したが、どこまで支えきれるか。一兆円を超える有利子負債を考えると存亡の危機に直面していることは否定できない。

 今後、産業再生機構や政策投資銀行といった政府系支援機関の投融資を要請することも考えられる。その場合はなおのこと、役員はじめ上級管理職の総退陣など徹底的な組織改革が行われ、内向きな隠ぺい体質が一掃されたことを確認しないかぎり、国民は税金の投入を容認するはずがない。

 三菱自は三十四年前、航空機などを生産する三菱重工業から分離独立し、堅実な技術を誇ってきた。車両生産は愛知・岡崎、岐阜・坂祝、岡山・水島の三拠点を持ち、スポーツ型多目的車パジェロ、乗用車コルト、ランサーなどの人気は根強い。

 今回の試練は厳しいが、多くのユーザー、三菱ファンの期待をつないでほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040424/col_____sha_____002.shtml