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2004年04月21日(水) 20時11分

鳥インフルエンザ 国、自治体の対応に警鐘−−専門家会議 /京都毎日新聞

 ◇食品の安全確保/システム導入など提言
 丹波町の鳥インフルエンザ問題で府は今月13日、「終息宣言」を出した。通報の遅れ、大量の鶏処分、経営者逮捕…。異例の経過をたどった問題は節目を迎えた。だが、取引先を失った養鶏農家らのマイナスをプラスに戻す歩みは始まったばかりで、感染ルート解明も進んでおらず、いまだ道半ばだ。府の専門家会議は終息宣言にあたり、一連の事態の検証と、今後の課題のまとめを公表した。委員らのコメントを交えて報告する。【野上哲】
 ◇府の対応
 専門家会議はまず、浅田農産船井農場での鳥インフルエンザ発生前後の府の対応を検証した。鶏大量死の発覚直後、確定診断を待たず現場を封鎖するなどの初動措置も含め、対応は「適切だった」と結論づけている。
 鶏の死亡が始まっていた2月19日、府職員は船井農場を訪れた。しかし「異常はない」との説明に鶏舎には入らず、異常に気付かなかった。この点は「死亡数は鶏舎にいた3万羽の1%足らずの段階。発見は困難」と府の落ち度を否定する一方、死亡数の定期報告制度(現在は義務化)があれば「的確な聴取が行えた」としている。
 ◇制度不備
 浅田農産は1週間に3万羽以上が死亡しながら通報を怠った。通報促進の観点から、今国会に罰則強化や損失補てん策を盛り込んだ家畜伝染病予防法(51年制定)の改正案が提出されている。三浦委員は「農家の庭先で鶏を飼った時代の法律。工場生産に近い現代養鶏の実態に対応できない」と指摘する。専門家会議では、損失補てんの充実を求める一方、国の通知である「防疫マニュアル」の法令化なども提言した。
 ◇感染防止策
 京都のケースでは世界で初めてカラス感染が確認された。「感染源は完全にはなくなっていない。防鳥ネットなど養鶏場での対策は引き続き必要だ」と今西座長。予防の観点から、野鳥調査やウイルス研究による感染ルート究明も喫緊の課題だ。
 専門家会議は人への感染対策にも触れた。幸い京都では人への感染は確認されなかったが、今西座長は「大量のウイルスにさらされた場合、発症しないレベルの感染はありうる」と指摘し、船井農場従業員らの抗体検査など追跡調査の重要性を強調する。
 ◇危機管理の甘さ
 正確ですばやい情報提供が消費者の不安を抑え、風評被害を防ぐ。しかし今回、ファクス放置など自治体間の連絡ミスで情報が混乱。府県を越えた広域出荷の現実に、自治体が縦割りで対応する限界を露呈した。
 国の対応にも問題が多い。新山委員は「緊急時には科学者の情報が信頼される」と指摘するが、国の食品安全委員会が「国民の皆様へ」という文書を出したのは発生から10日以上経ってからだった。新山委員は「国がメディアを通じ、一元的かつ迅速に情報発信すべきだ」と提言する。
 ◇工業化への警鐘
 飼育数20万羽以上と大規模化を目指した養鶏界の象徴である浅田農産船井農場は、感染発覚による経営への打撃を恐れ、届け出を怠り、感染が疑われる鶏を出荷した。ゆがんだコスト意識が生んだ企業倫理の欠如。「養鶏業者に、扱っているのは生き物だという観点が抜け落ちていた。消費者も安ければいいと安全性を隅に置いてしまった」と大槻委員。背景には大量消費社会のひずみが見える。
 専門家会議は卵や鶏肉のトレーサビリティシステム(食品の事後追跡を可能にする仕組み)など、食品の安全確保の仕組みの早期導入を提言した。これらをどれだけ着実に実行できるかが食の信頼回復のカギになる。
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 ◇府高病原性鳥インフルエンザ専門家会議
 浅田農産船井農場での鶏大量死発覚(2月27日)を受け、3月1日に府が設置。専門家9人で構成し、防疫対策などに助言してきた。今月11日、検証結果などをまとめ公表した。メンバーは次の通り。
 今西二郎・府立医大教授(座長、ウイルス学)▽大槻公一・鳥取大教授(獣医微生物学)▽寺島泰・大阪産業大教授(水質・土壌汚染)▽三浦正毅弁護士(法律)▽山岸哲・山階鳥類研究所長(鳥類)▽尾崎清明・同研究所標識研究室長(同)▽新山陽子・京都大教授(農業経済)▽藤田直久・府立医大助教授(感染症)▽山田秀和・府立大助教授(土壌化学)(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040421-00000002-mai-l26