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2004年04月19日(月) 03時07分

三菱自、リコール隠し発覚後も不適切なクレーム対応読売新聞

 三菱ふそうトラック・バス(昨年1月に三菱自動車から分社)の欠陥車問題で、同社のトラック・バス部門が、2000年にリコール隠し事件が発覚して以降も、ユーザー側からの「不具合情報」について不適切な扱いを続けていたとして、国土交通省から行政指導を受けていたことがわかった。

 同社は、リコール関連の業務改善について、当時の運輸省に報告したばかりだったが、実際には一部の情報がリコールの検討対象から漏れるなど、ずさんな処理が続いており、リコール事件の教訓は全く生かされていなかった。

 問題が見つかったのは、国交省が2001年7月、大型車部門が分社化する前の三菱自動車に対して行った立ち入り検査。前年の2000年7月に発覚したリコール隠し事件を受け、リコールにつながる不具合情報を集約していた品質保証部が重点的対象になった。

 国交省関係者によると、不具合情報は、全国の販売店、支社から寄せられたクレームや情報を、想定される危険度に合わせて、「安全特別情報(S1)」「安全重要情報(S2)」「安全一般情報(S3)」の順に分類。これを複数のグループ長(課長級)が確認する仕組みになっていた。

 特に、路上で故障が発生すれば事故に直結しかねないエンジン、ブレーキ、駆動装置などの重要部品の不具合情報は、原則的に緊急性が最も高い「S1」に分類され、役員が出席するリコール検討会議にかけることになっていた。

 しかし、担当者に分類基準を徹底していなかったため、担当者の独断で、重要部品の不具合情報を「S2」以下に分類し、グループ長がそのまま決裁していたケースが複数あった。こうした不具合情報は、リコール検討会議にかけられることはなく、対策が施されないまま放置されていた。

 また、同社では、今月15日にリコールを届け出た大型車の後輪ハブの不具合情報についても「S3」に分類。最悪の場合、走行不能になる可能性があったのに、「危険度はさほど高くない」として重要視していなかった。

 さらに、「S1」に分類した不具合情報も検証の結論が出ないまま1年以上、放置していた事例も発覚。立ち入り検査の際、国交省の係官からは、「社内での検討に時間をかけ過ぎ」と問題点を指摘されていた。

 同社はリコール隠し事件の再発防止策として、2000年10月にリコール関係の業務改善を決定。〈1〉不具合情報の判断基準を明確化〈2〉リコール検討過程を監査会でチェック——などを打ち出し、当時の運輸省に報告していたが、問題が改善されていなかったため、国交省は不具合情報分類の基準を徹底するよう指示。同年末にはさらに、文書で改善勧告を行った。

 これを受けて、同社は2001年4月に改善策をまとめた報告書を提出。国交省は2002年の立ち入り検査で確認を行う予定だったが、2002年1月に、大型車の前輪ハブの欠陥により発生した横浜市の母子死傷事故を機に、国交省側も事故の再発防止策に追われ、その後、この年6月に行われた立ち入り検査では、不具合情報についての改善が行われたかどうかの確認はできなかったという。

 国交省では、三菱側のこうした不明確な安全基準が、長年にわたってハブの欠陥を放置していた背景にあるとみて調べている。

 ◆三菱自動車リコール隠し事件=三菱自動車(当時)が、顧客からのクレームやリコール(回収、無償修理)届け出が必要な不具合情報を隠していたことが2000年7月に発覚。前年の運輸省(現国土交通省)の立ち入り検査で、約1万300件の不具合情報を隠したとして、当時の副社長ら4人が道路運送車両法違反(虚偽報告)に問われた。東京簡裁は2001年5月、4人に罰金20万円、同社に同40万円の略式命令を出し、確定している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040419-00000201-yom-soci