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2004年04月18日(日) 00時49分

「食肉のドン」浅田満容疑者、政界にも太いパイプ朝日新聞

 偽装牛肉事件を主導したとして詐欺容疑で逮捕された大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)副会長の浅田満容疑者(65)が築き上げた「ハンナングループ」は国内外に約70社の系列会社を擁する。政界に太いパイプを築き、食肉業界に大きな影響力を持つ実力者だ。だが、公的な場に顔を出すことは少なく、実像はなかなか見えない。

 「羽曳野には親戚(しんせき)みたいな人はたくさんいます。浅田さんを筆頭に」

 浅田容疑者の地元、大阪府羽曳野市の体育館で、鈴木宗男元衆院議員の甲高い声が響いた。00年1月28日、大阪府知事選に初めて挑んだ太田房江氏への応援演説。鈴木元議員は当時、選挙実務を仕切る自民党総務局長だった。

 浅田容疑者と太田知事とは少なくとも4回会っている。高さ2メートル以上の塀、うっそうとした緑に囲まれ、プールを備えた羽曳野市の浅田邸。00年7月、ここで太田知事や府幹部、府議らが招かれた宴会が開かれた。「費用は業者の方(浅田容疑者)が負担した。手土産に肉をいただいた」。府幹部は議会で質問され、こう答弁した。

 浅田容疑者は鈴木元議員ら農水族議員を中心に政治家を資金面で支えてきた。関係者によると、浅田容疑者は故中川一郎元農水相の支援者だったが、中川氏が83年に死去した後、中川氏の秘書だった鈴木元議員がその関係を引き継いだ。

 鈴木元議員が95年から7年間使った高級乗用車「セルシオ」はハンナングループの企業名義だった。自動車税約45万円も肩代わりしてもらっていた。

 今回の事件で悪用された「国産牛肉買い上げ制度」は鈴木元議員と松岡利勝元農水副大臣が01年、農水省に実施を迫っていた。当時は牛海綿状脳症(BSE)の影響で牛肉の売り上げが激減していた。「国が引き受けますと言えばいい。簡単なことなんだよ」。鈴木元議員は農水省幹部に詰め寄った。

 レストラン「ロイヤルホスト」などを展開し、ハンナングループの大口取引先でもあるロイヤルの江頭匡一(えがしら・きょういち)・創業者相談役(81)は「逮捕は残念だ」と話す。浅田容疑者は、写真を撮られたり、にぎやかな場所に出たりするのが苦手だという。「若いころに苦労したいろんな思いがあるからだろう」と言う。

 浅田容疑者の幼なじみという羽曳野市の食肉業者(63)は「浅田さんぐらいの人になると、5億円も6億円も、私たちにとっての1、2万円の感覚になってしまう。それが原因ではないか」と話した。

 太田知事は浅田容疑者の逮捕後、「報道されている内容しか知りませんので、今後の捜査の推移を見守りたい」という談話を出した。

   ◇

 著作「食肉の帝王」で浅田満容疑者を描いたジャーナリスト溝口敦氏の話

 浅田容疑者をめぐる偽装牛肉疑惑は、立件されずに葬られてしまうと心配していたので驚いている。大阪府警がよくぞ捜査に踏み切ったと思う。浅田容疑者は今まで聖域視されてきた、食肉や同和問題にからむ分野で活動し、大阪に限らず東京や名古屋でも影響力を行使してきた。今回の事件で終わりとせず、食肉や同和問題をめぐる利権構造や政治家、暴力団との関係が洗いざらい明らかになることを期待する。(04/18 00:05)

http://www.asahi.com/national/update/0418/001.html?2004