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2004年04月15日(木) 19時06分

[ニュースワイドとちぎ]被害やまぬ「おれおれ詐欺」 /栃木毎日新聞

 ◇高齢者ばかりか若年層にも
 ◇手口も巧妙化、末遂含めると104件発生−−1〜3月末
 孫などを装って電話を掛け、トラブルに巻き込まれたからと現金を銀行口座に振り込ませる「おれおれ詐欺」の被害がやまない。捜査2課と県警生活安全企画課は、今年1〜3月末までの被害状況をこのほど発表したが、未遂を含めると104件発生し、このうち実際に被害があったのは38件、被害総額は約4300万円にも上っている。高齢者を狙った卑劣な犯罪だが、最近は30歳代の女性も被害に遭うなど、被害者の年齢層は広がりを見せ、手口も巧妙になってきているのが特徴だ。【関東晋慈】
 大田原市薄葉に住む、農業の男性(78)方に3月30日夕方、電話があった。妻(77)が電話に出ると、若い男が「ばあちゃん。体の具合はどうだい?」と尋ねた。普段、電話を掛けてくる新潟の孫(26)だと思った。
 「じいちゃんはどうだい?」
 夫婦の体が弱っていることを知り、気遣う言葉だったので、孫だと確信した。
 それから2日後の午前、同じ声で電話があった。妻に代わって夫が出ると、「友人の葬儀代の保証人になった。午後1時までに332万円を用意しなければならない」と、深刻な様子で訴えた。男が伝えた名前と大阪府内の銀行口座番号をメモにとると、夫は「100万なら用意できる」と答え、近くの農協へ向かった。
 夫は窓口で現金振り込みを依頼したが、不審に思った職員が説得。別の職員が自宅に向かうと、「まだ振り込めないのか」と催促する電話が入った。職員が機転を利かせ「おれだけど分かるかい?」と尋ねた。「おじさんかい?」と自信なく答える男に、「名前分かるかい?」と続けて尋ねると「だめだな」と言って電話を切り、被害は食い止められた。
 夫は「今は簡単に殺されてしまう時代。もうすぐ子供が生まれる孫を、なんとか無事で帰したかった。金なんて問題じゃなくなった」と、当時の心境を振り返った。
 県警によると、実際に現金をだまし取られた被害は、今年1〜3月で昨年10〜12月までの3カ月間の63件から38件へと減っている。しかし、これまでの孫を装う手口から、警察官や架空の交通機関を名乗って交通事故の示談金名目でだます新しい手口も出始めている。
 3月23日には警察官を名乗る男から「ご主人が交通事故を起こした」という電話で、黒磯市の女性会社員(33)が200万円の被害に遭った。4月7日には「中央交通安全局」という架空の団体からの電話で、夫が事故に遭ったと信じた矢板市の主婦(33)が約200万をだまし取られた。高齢者だけでなく、30代が被害に遭うなど、手口の巧妙化から被害者の低年齢化もみられるのが特徴だ。
 県弁護士会の消費者問題委員会の委員も務め、金融問題に取り組む山口益弘弁護士は「さまざまな手口で巧みにだましてくるが、昨日作れなかった金を今日作らなくても問題はないはず。翌日でもいいというつもりで、あわてないで話をよく聞いてほしい」と、電話があった際の心構えを話す。
 大田原市の男性の被害を食い止めた農協の支所長は「職員全員がおれおれ詐欺を防止するという高い意識を持っていることが、今回の被害防止につながったのではないか」と話す。
 しかし、金融機関がいくら注意しても、電話を受けた人が身内からと思い込んであわててしまい、被害がなかなかなくならないのが実態だ。
 県警生活安全企画課は14日、防犯ガイドを発行した。この中でおれおれ詐欺に対する家庭での対応の仕方を紹介したり、孫や夫など電話をかけてきたと思われる相手に連絡を取るなど、防止策を列挙している。同課は「不審な電話があったら、遠慮なく警察に相談、通報してほしい」と話している。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040415-00000002-mai-l09