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2004年04月13日(火) 00時00分

おれおれ詐欺の被害加速  知っていても ダマされる 東京新聞

 身内などを装って現金をだまし取る「おれおれ詐欺」の今年の被害額が、わずか三カ月間で昨年の被害額を上回ったことが十二日、県警捜査二課のまとめで分かった。県警は被害防止策を呼び掛ける一方、捜査に全力を挙げているが、実行犯の摘発には至っていない。犯人が捕まらない以上、被害に遭わないよう気を付けるしかないが、被害者側の注意が追いついていないのが現状だ。 (中沢 佳子、清水 俊介)

◆2・5倍

 県内の一−三月の発生件数は二百六十一件(うち既遂百五十七件)、被害総額は約二億千三百万円にのぼる。昨年は、一件目が起きた五月からの八カ月で二百八十件(同百八十三件)、約一億九千万円。月平均でも昨年三十五件、今年は八十七件。二・五倍の勢いだ。

 猛威を振るい始めた昨夏以降、県警は定期的に被害状況を発表、注意を呼び掛けてきた。その成果か、「認知度」は確実に上がっている。

 しかし…。被害者百五十七人中百五十五人、実に98・7%が、おれおれ詐欺を知っていながら被害に遭ってしまった。県警幹部は「どうすればいいのか」と頭を抱える。

◆とにかく相談

 県警は▽銀行などへ啓発チラシ配布▽だまされない心得三カ条を記したステッカー配布▽詐欺電話の再現テープを各署へ配り随時活用−などの対策を講じた。しかし「身内の緊急事態」に冷静さを失うケースは依然、後を絶たない。

 知っていても被害に遭う理由について、県警幹部は「『自分だけはだまされない』という甘い認識」を指摘する。「『お金を振り込んで』という電話があったら、まず誰かに相談。防止策は、これしかない」

◆非面接

 県警は懸命の捜査を続けているが、難航している。最大の理由は、おれおれ詐欺の犯人が被害者と顔を合わせない「非面接犯」で、接触する“現場”がない点にある。

 唯一のつながりは、犯人が電話で伝える携帯電話番号と口座番号のみ。しかも、ひとたび振り込まれたら全国どこからでも引き出せる。この現場を押さえるのも難しい。

 県警は一人だけ、実行犯を逮捕した。昨年九月、藤沢市の男が「借金を返せなくて困っている」と高齢女性に電話し、現金を駅のコインロッカーに入れるように指示。取りに来た男を、張り込み中の捜査員が取り押さえた。「こういう現場を設定する犯人は、そういない」(県警幹部)。

◆必須アイテム

 難航するもう一つの理由が、“必須アイテム”のヤミ口座とヤミ携帯電話。「口座屋」「携帯屋」と呼ばれる犯人が、他人に成り済まして銀行や販売店からだまし取り、転売する。名義人が実行犯ということは、まずあり得ない。

 県警は詐欺容疑で口座屋十八人、携帯屋四人を逮捕している。口座が岐阜県内の被害者の振込先になっていたり、携帯電話が広島県内で使用されたりと、転売先は全国に散らばっている。転売が繰り返されているため、県警は実行犯の特定には至っていない。

 被害は急増、捜査は難航。とにかく自分が気を付けるしかないようだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20040413/lcl_____kgw_____001.shtml