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2004年04月07日(水) 03時25分

ハブ欠陥資料「切り札」に三菱自にリコール迫る 国交省朝日新聞

 横浜市の母子死傷事故に絡んで、国土交通省が02年6月、三菱自動車に対して実施した特別監査。この時、三菱側は金属部品「ハブ」の強度不足を示すサンプル調査の結果を隠していたのではないか。そんな疑惑が浮上した。事実なら悪質なリコール(無償回収・修理)隠しに当たる。三菱側と国交省間の交渉経過が明らかになった。

 石原国土交通相は6日の記者会見で、「監査の担当者がだまされたという思いは私にもある」と語り、3月に三菱側がリコールを届け出た前後から、従来の三菱側の説明と食い違う事実が次々と明るみに出ていることに不快感を示した。

 国交省は、ハブのサンプル調査の分析結果を「リコールが必要と認識できる重要な資料だった」としており、三菱側がリコールを避けようとして正確な報告を怠った疑いが強いとみて、道路運送車両法違反(虚偽報告)の疑いでの刑事告発に向け、捜査当局と協議を進めている。

 問題の監査は、横浜市で起きた主婦死亡事故の5カ月後の02年6月にあった。国交省自動車交通局リコール対策室の監査官4人が、川崎市にある三菱自動車トラック・バス開発本部(当時)を訪れ、同社でリコールを担当する品質保証部門の社員が対応した。

 「ハブに関する書類をすべて出してください」。監査官が求めると、コンピューター画面に、同社が横浜の事故後に無償点検・交換で回収したハブのデータが並んだ。その数、約3千台分。担当官はこのうち約300台分の提出を求めた。

 三菱側は横浜の事故後、一貫して「整備不良でハブが摩耗し、破損につながった」と事故原因を説明し、破損は使用者側の整備不良で起きたものでリコールには当たらない、と結論づけていた。

 だが、三菱側は一方で、この約3千台の中から477台分のハブについて、磁気をつかった精密検査を実施。摩耗の度合いに関係なく、約3割で亀裂が発生しているとの分析結果を同年3月の時点でつかんでいた。ところが、監査ではこの分析結果は示さなかった。当時の監査官は「そんなものがあるとは知らず、リコールを拒む三菱の理論を突き破る材料がなかった」と振り返る。

 神奈川県警の捜査が本格化した後の今年3月5日、国交省の幹部は捜査関係者から、サンプル調査の分析結果や同社の若手技術者がまとめた報告書など、ハブの設計上の欠陥を示す社内文書を突きつけられた。三菱自に対する対応の甘さを指摘されたも同様で、慌てた国交省はその夜、ビルフリート・ポート社長に対し、このうち「九つの文書」を持って国交省に出向くよう指示した。

 同8日、国土交通省と三菱ふそうトラック・バスの幹部が同省内の会議室で向き合った。机上には「九つの文書」が並んでいた。「整備不良が原因だ」。三菱側の幹部はここでも従来の主張を繰り返したというが、切り札を手にした国交省側は、2年前とは打って変わり、強硬にリコールを求めた。席上、押し黙っていたポート社長は2日後、再び国交省を訪れ、「リコールを届け出ます」と報告した。

 「九つの文書を読み、ポート社長は従来の主張が通用しないと判断したのだろう」。国交省幹部は、三菱側が一転して製造者責任を認めた理由をそう分析してみせた。

(04/07 03:24)

http://www.asahi.com/national/update/0407/003.html