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2004年04月07日(水) 00時00分

〈リポート〉節電器商法訴訟朝日新聞・

経費削減の期待裏切られ負担増 支払い分の回収は困難

 節電器の効果がほとんどなかったとして、全国各地で販売会社や信販会社が訴えられた節電器商法訴訟。県内でも、青森市などの事業主ら計96人が集団提訴して争っている。ある縫製会社の社長は、長引く不況のなか、「電気代が安くなる」との宣伝文句につられ、購入。経営難に追い打ちをかける落とし穴になるとは思いもよらなかった。(田伏 潤)

●売り込まれ契約

 00年12月末の夕方。青森市野内の縫製会社の事務所に2人の客が訪ねてきた。社長の横山廣太郎さん(65)に「効果てきめんです」と節電器「省電王」を売り込んだ。東京の販売会社「アイディック」の営業担当者だ。

 ミシン約20台が稼働する工場の電気代は、1カ月あたり8万〜9万円。担当者が示した電気代の削減率は31%で、月に2万円以上は安くなる計算だった。

 「そんなに安くなるなら、なぜもっと使われていないのか」

 疑問に思った。だが、それ以上に「少しでも経費を削りたい」との思いが強かった。契約書に判子をついた。代金は57万7500円だった。

●担当者は「不在」

 横山さんは90年11月、岐阜県から進出した。青森で従業員を雇えば、青森県の補助金が出ることも魅力だった。当時は紳士用コートの縫製が専門。仕事はいくらでもあった。最盛期には従業員が50人ほどいた。

 やがて、バブルがはじけた。安価な中国製の衣料品が日本中を席巻し始めた。「うちで作る五分の一以下の価格。私も買ってしまったよ」

 経費のほとんどは人件費だ。従業員を最盛期の約3分の1に減らし、ストーブの灯油代や商品の運送費も頭を下げて値引きしてもらった。それでも間に合わなかった。「次は電気代」と節電器に飛びついた。

 電力会社から来た通知を見て、期待は裏切られた。電気代は、さして安くならなかった。「だまされた」と思った。

 ア社の営業所に電話した。「2カ月待ってほしい。季節によって消費電力も変わるから」と言われた。それからは、何度電話しても「担当者は不在」と告げられた。

●ア社に破産宣告

 昨年末、集団提訴に加わった。ア社には支払い済みの代金の返還を、ローンを組んだ信販会社には未払い代金の債務不存在の確認を求めている。

 だが、肝心のア社は2月末、東京地裁から破産宣告を受け、訴訟の対象から外れた。払った分の回収は難しくなった。破産管財人によると、ア社の元役員は「節電率について一部過剰な宣伝をした時期はあったが、節電器自体に効果はある」と説明しているという。

 「加盟店契約を結ぶア社が扱う商品の問題を知りながら、調査する注意義務違反を犯した」と訴えられた信販会社側は、「調査義務はない」などと棄却を求めている。

 節電器は今、横山さんの工場の片隅でほこりをかぶっている。正規の従業員は1人もいなくなった。家族5人とパート4人。スーツやシャツなどを受注し、生き残りに必死だ。

 節電器の返済分の金額だけ、小遣いが減った。

 「こっちも多少の欲があった。アイディックが破産するのは提訴時点で分かっていた。信販会社への返済だけでも帳消しになれば…」。横山さんは肩を落とした。

《節電器商法訴訟》 全国の提訴状況をまとめている節電器被害対策仙台弁護団事務局長の佐藤敏宏弁護士によると、6日現在、28都道府県で1761人が支払い済み代金計約6億7千万円の返還と、未払い代金計約9億8千万円の債務不存在の確認を求めている。

 節電器をめぐっては、北海道立消費生活センターが98年、ア社製と同じ原理の節電器で実験。照明器具の節電効果はあったがほとんどの電化製品で効果はなかった。同センターは「3〜5%ほど節約になるだけ」と分析した。



(4/7)

http://mytown.asahi.com/aomori/news02.asp?kiji=6174