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2004年04月04日(日) 00時00分

鳥インフルエンザ 野鳥は大丈夫? 東京新聞

 「東南アジアから渡ってくるツバメは大丈夫?」。高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染したカラスが京都や大阪で見つかって以来、身近な野鳥からの感染を心配する声があがっている。専門家らは「今のところ野鳥などへ感染が広がる状況にはない」と話しており、冷静な対応が必要だ。 (鈴木久美子)

 日本野鳥の会には「ツバメは大丈夫?」といった相談が、このところ相次いでいる。ツバメは四月上旬のちょうど今ごろ、東南アジアなどから日本に渡って来て、家の軒先などに巣をかける。

 国内で検出されたウイルスと昨年末韓国で流行したウイルスがほぼ同一と分かったことから、専門家の間では渡り鳥がウイルスを持ち込んだのでは、との見方も出ており、これが不安に拍車をかけている。

 ただ同会の山田泰広研究員は「これまでに東南アジアからツバメの感染例や大量死の報告はない。可能性がないとは言い切れないが感染の確率はかなり低く、気にしなくてもいい。小さな体で数千キロも旅をして日本にやってくるツバメたちを温かく見守ってあげて」と訴える。

 環境省鳥獣保護業務室も「死んだ野鳥の検査を続けているが、今のところすべて陰性。日本で野鳥の間に感染が広がる状況にはない」と話す。

 一方、「カラスやドバトのフンが落ちているが、どう始末すれば…」。先月十一日から東京都が設置している相談電話「鳥インフルエンザ110番」には連日、こんな相談が相次いでいる。

 東京周辺のカラスは、東京駅を中心にした半径五十キロ以内に約十三、四万羽(日本野鳥の会東京支部)。ごみあさりなどの被害も絶えず、都は三年前から捕獲作戦を展開。これまでに「約三万羽を捕獲した」。

 気になる鳥インフルエンザへの感染については、「一部のカラスの追跡調査をしたところ、大半は移動距離が五キロ前後、最大でも四十キロ。関西方面で感染したカラスがこちらまでくるとは考えられない。弱ったカラスは回収してウイルス検査をしていますが、すべて陰性」と担当者。

 「『カラスの巣の近くに住んでいるが悪影響はないか』『上空で舞っているが、フンと一緒にウイルスが落ちてこないか』といった質問が多いが、上空の鳥から感染した例は世界にない。神経質になる必要はない」と説明する。

 鳥取大学農学部の大槻公一教授(獣医微生物学)も「野生動物はそれぞれのテリトリーの中でバランスをもって生息している。簡単に鳥から鳥へ感染が広がるとは考えにくい」と話す。鳥から人への感染も「二十五万羽が感染していた京都の浅田農産でも、従業員への感染はなかった。ちょっとウイルスに接触したくらいで感染するものではない」。

 ただし、鳥はインフルエンザウイルスに限らず寄生虫や微生物など“病気の素”を持っている。直接触れるのは避けた方が良く、「フンがたまって乾くと空中に舞うので、そうならないよう水でこまめに洗い流して」と野鳥の会の山田研究員。都の担当者も「野鳥の死体はビニールでくるむなどして、素手で触らないようにしてほしい。心配なら処理後に殺菌効果のある逆性石けんで消毒して」とアドバイスする。

 そして関係者が一様に心配するのは、野鳥を傷つけたり、飼っていた鳥を殺してしまうような過剰反応。大槻教授も「動物はおもちゃじゃない。責任を持って接してほしい。心配なら近くの開業獣医などに相談して」と話している。

●鳥インフルエンザに関する情報提供機関

◆東京都 鳥インフルエンザ110番

 TEL03・5320・7803

◆国立感染症研究所感染症情報センター
 http://idsc.nih.go.jp/others/topics/flu/toriinf.html

◆日本野鳥の会 http://www.wbsj.org/index2.html

◆農林水産省 http://www.maff.go.jp/tori/index.html


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040404/ftu_____kur_____000.shtml